HAART時代の日和見合併症に関する研究

文献情報

文献番号
200400645A
報告書区分
総括
研究課題名
HAART時代の日和見合併症に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
安岡 彰(富山医科薬科大学(医学部))
研究分担者(所属機関)
  • 源河 いくみ(国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター)
  • 片野 晴隆(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 中村 哲也(東京大学 医科学研究所附属病院)
  • 竹内 勤(慶応大学 医学部)
  • 川上 和義(琉球大学大学院 医学研究科)
  • 河野 茂(長崎大学大学院 医歯薬総合研究科)
  • 北村 唯一(東京大学 医学部)
  • 古西 満(奈良県立医科大学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 強力な抗HIV療法(HAART)によりHIV感染症の様相が変化したが、日和見感染症は再び増加の傾向にある。日和見合併症のコントロールが現在でも重要な研究課題であることから、HAART時代の今日的な日和見合併症への対処を検討することを目的とした。
研究方法
以下の項目について検討を行った。
1)日和見合併症の動向と頻度の調査 
2)難治性日和見合併症の病態解明、治療方針の確立
 a)悪性リンパ腫、カポジ肉腫
 b)進行性多巣性白質脳症
 c)難治性・耐性真菌症
3)免疫再構築症候群の病態解明と回避の手段、発症時の対処 
4)頻度が高いAIDS合併疾患についての診断・治療の標準化・診断技術移転法の解析 
(倫理面への配慮)疫学研究に関する倫理指針等の倫理指針に沿って研究を遂行した。
結果と考察
1)日和見合併症は最近も微増傾向が認められた。個々の疾患比率ではニューモシスチス肺炎が最多で、 ニューモシスチス肺炎、悪性リンパ腫等の増加傾向が見られた。日和見合併症を発症した患者の転帰は17.6%が死亡であった。
2)a)主要病院病理部における調査ではdiffuse large B-cell lymphoma(DLBCL)が減少し、それ以外の病型、特にBurkitt lymphoma増加していた。DLBCLが節外性に発生する要因としてLFA-1が重要であることを明らかにした。
2)b)PML例でのJCウイルス遺伝変異として調節領域変異とともにコード領域(VP1ループ)でも変異が認められることを明らかにした。
2)c)免疫不全状態でのC.neoformans治療強化にCpG-DNAによる免疫賦活が有用であることを明らかにした。またアゾール耐性カンジダの薬剤感受性がラクトフェリンを併用することにより改善することを明らかにした。
3)免疫再構築症候群の調査では7施設で171例のIRS疑い例が認められ、このうち帯状疱疹、非結核抗酸菌症、CMV感染症、ニューモシスチス肺炎、結核症にいて詳細を調査した。免疫再構築症候群としての非結核抗酸菌症およびCMV網膜炎の特徴を調査した。
4)原虫疾患診断のための講習会を開催すると共に、自己学習用CD-ROMの作成した。米国CDCの日和見合併症の治療のガイドラインの日本語要約版を作成した。
結論
HAART時代の日和見合併症の問題点と特徴を明らかとし、今後の治療指針の策定を検討した。

公開日・更新日

公開日
2005-06-09
更新日
-