先進諸国におけるエイズ発生動向、調査体制、対策の分析に関する研究

文献情報

文献番号
200400639A
報告書区分
総括
研究課題名
先進諸国におけるエイズ発生動向、調査体制、対策の分析に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
鎌倉 光宏(慶應義塾大学看護医療学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小松 隆一(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 池上 清子(国連人口基金東京事務所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国では、HIV感染者報告のみならずAIDS患者報告も依然として増加傾向を示し、憂慮される状況が続いている。本研究は世界の先進諸国の発生動向、調査体制、予防対策を整理・分析し、わが国における効果的な動向調査体制の確立と対策の立案に資することを目的としている。
研究方法
(1)国際機関および各国の発生動向報告書、websiteの情報等を活用し、先進諸国におけるHIV/AIDSの発生動向の研究を時系列及び各国間で比較検討した。
(2)先進諸国の調査体制の現状及びその利点と問題点の比較研究を行動サーベイランスの状況を中心として行った。加えて、リスク行動調査体制に関する基礎研究等を行った。
(3)先進諸国における各種施策集団ごとの対策とその評価を行った。事例を収集し、効果評価についての判定指標についての情報も集積して分析を行った。
結果と考察
(1)主要先進国においてもHIV/AIDSサーベイランスの対象および質的充実度はかなり異なり、とくに国レベルのHIV感染者の届出システムについては差が認められた。症例報告のCase Identifierの活用がわが国と大きく異なる点であった。
(2)行動サーベイランスについては、カナダ、スイス、フランス、米国では、リスク行動サーベイランスと位置づけられる調査が実施されていた。米国の健康リスク行動の全国調査BRFSS ではインターネットを通じて予防対策に関わる有用な情報の収集・還元が可能であった。法律に触れる項目の調査については、国内に導入する場合の問題点が認められた。
(3)先進諸国の予防プロジェクト事例に付いては、リスク集団の規模の違い、また経済活動との関連で、わが国への導入が困難と思われる事例が認められた。また、コミュニティーベースの非政府組織の成熟度と政府の資金援助の形態についても差異が認められた。
結論
先進諸国間においてもHIV/AIDSサーベイランスには質的相違があり、捉率に関するデータも十分ではないと考えられた。わが国のシステム上の問題は病変とくにAIDS死亡に関するデータが極めて不足しており、経時的変化の観察、国際比較および薬剤の治療効果判定を行うことが不可能である点である。行動サーベイランスについては、わが国でも体系的な情報を入手し、効果的な対策を推進し、それを評価するための行動サーベイランスの仕組みを設立する必要性が高い。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-