文献情報
文献番号
200400637A
報告書区分
総括
研究課題名
新作用機序の抗HIV-1薬剤の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 誠治(熊本大学・エイズ学研究センター・予防開発分野)
研究分担者(所属機関)
- 鈴 伸也(熊本大学・エイズ学研究センター・予防開発分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、薬剤耐性HIV-1の克服のために、重要な病原性因子の一つであるNef蛋白質によってエイズ発症に至る分子機序を解明し、その作用点特異的な新たな作用機序を持つ抗HIV-1薬の開発を目指す事である。
研究方法
Nefの血球機能に及ぼす影響を、単球・マクロファージ系に着目して解析した。ヒト単球系細胞株TF-1-fmsにエストロゲン受容体と融合させたNef蛋白質を発現させた安定細胞株を樹立し、NefのM-CSF/M-CSF受容体系に及ぼす影響を解析した。更に、M-CSFによるシグナル経路の活性化に及ぼす影響を免疫沈降・Western Blot法により解析した。
ヒト免疫系を構築したマウスを作製する為に、免疫不全マウスへヒト臍帯血中造血幹細胞・臍帯血単核球を放射線照射したマウスへ移植し、ヒト血液細胞の出現を経時的にFACS等により解析した。
ヒト免疫系を構築したマウスを作製する為に、免疫不全マウスへヒト臍帯血中造血幹細胞・臍帯血単核球を放射線照射したマウスへ移植し、ヒト血液細胞の出現を経時的にFACS等により解析した。
結果と考察
Nef活性化によりTF-1-fms-Nef-ER細胞のM-CSF依存性増殖抑制と分化抑制が認められた。 その機序としては、NefがHckを活性化し、HckとM-CSF受容体の非生理的な会合をもたらす事で、M-CSF受容体の活性化を障害し、M-CSFの生物活性を抑制したと考えられた。
臍帯血単核球を移植した免疫不全マウスでは、移植後6週に渡りヒトT細胞の構築が認められ、HIV-1実験室株JRFLの感染が成立した。臍帯血由来ヒト造血幹細胞を移植した免疫不全マウスでは、移植後20週以上に渡りヒト造血系の構築が確認された。これらのマウスは、薬剤やワクチン等の治療法の開発やHIV-1の病態解明に非常に有用なツールとなると考えられる。
臍帯血単核球を移植した免疫不全マウスでは、移植後6週に渡りヒトT細胞の構築が認められ、HIV-1実験室株JRFLの感染が成立した。臍帯血由来ヒト造血幹細胞を移植した免疫不全マウスでは、移植後20週以上に渡りヒト造血系の構築が確認された。これらのマウスは、薬剤やワクチン等の治療法の開発やHIV-1の病態解明に非常に有用なツールとなると考えられる。
結論
NefがHckと会合し、M-CSF受容体経路を阻害することによりマクロファージの機能を攪乱することを見いだした。そして、Nefを標的とした抗HIV-1薬剤をスクリーニングするin vitro培養系を確立した。NefによるM-CSFシグナル伝達の撹乱作用は特異的で、薬剤開発に最も適した分子標的のひとつであると考えられた。今後、作用機構の解明を進め、薬剤のスクリーニングを行う。一方、in vivo評価系の確立を目指したヒト免疫系を構築したマウスは、N研究基盤を確立する事ができた。これらのin vitro、 in vivoの系を有機的に駆使して、Nefをターゲットとした新規薬剤の開発とその評価系の確立を目指す。
公開日・更新日
公開日
2005-05-13
更新日
-