薬剤耐性HIVの発生動向把握のための検査方法・調査体制確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400636A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤耐性HIVの発生動向把握のための検査方法・調査体制確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
杉浦 亙(国立感染症研究所エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 浅黄 司(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター臨床検査科)
  • 金田 次弘(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
  • 加藤 真吾(慶応義塾大学医学部)
  • 潟永 博之(国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター)
  • 桒原 健(独立行政法人国立病院機構宇多野病院薬剤科)
  • 児玉 栄一(京都大学ウィルス研究所附属エイズ研究施設感染免疫研究領域)
  • 巽 正志(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 仲宗根 正(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 松下 修三(熊本大学エイズ学研究センター)
  • 松田 善衛(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 山口 由美(産業技術総合研究所生物情報解析研究センター)
  • 上田 幹夫(石川県立中央病院血液病治療部)
  • 下条 文武(新潟大学医歯学総合病院第2内科)
  • 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科)
  • 山本 政弘(独立行政法人国立病院機構九州医療センター)
  • 山本 善彦(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
100,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬剤耐性HIV-1の発生・伝播動向を把握する調査体制の確立と、薬剤耐性HIV-1症例の増加を抑制する有効な対策を提案することを目的とする。
研究方法
新規感染者における薬剤耐性調査のため、調査プロトコルの作成、検査の実施、データーの整理・収集などを行う。調査結果よりわが国における薬剤耐性HIV-1の動向を把握し、薬剤耐性が拡散する背景を推測し、対策を提案する。抗HIV-1薬剤血中濃度維持のために、薬剤血中濃度モニタリング研究に取り組む。ホームページを介しての治療薬剤の情報発信と血中濃度測定検査の受付を行っていく。また、薬剤耐性HIV-1症例の増加抑制を目標に、薬剤耐性検査、薬剤血中濃度モニタリング、細胞内薬剤濃度の測定などの検査を組み合わせながら至適治療法について研究を進めていく。耐性化機序と病態を理解するために薬剤耐性HIV-1のウイルス学的基礎研究を進める。
結果と考察
薬剤耐性ワーキンググループ会議を開催し、調査プロトコルを作成した。それに従い、新規感染者データーの収集を開始した。その結果2003 ?2004年にかけての313例の新規登録者のデーターが提出された。検査結果の施設間差を評価するヴァリデーションを計画し、その事前調査を実施した。血中濃度測定研究のホームページを立ち上げて検査等の紹介と受付を行った。LC-MS/MSによる細胞内ddNTPの定量系を確立した。客観的な服薬アドヒアランスのモニタリング方法として毛髪からの薬剤検出を試みた 。血中濃度測定の有効性をSQV+RTV併用療法患者の追跡から立証した。薬剤耐性基礎研究として、①新たなNRTI阻害剤4’-EfdAを同定した。②定量PCRによる競合培養法を作成し、その解析精度について評価を行った。③新たなNNRTI耐性変異K238Sを見出した。NNRTI耐性変異のK103Nの獲得におけるK103Rの重要性を明らかにした。④Envの膜貫通部分変異が膜融合に影響を与えることを明らかにした。⑤MAGIC5細胞を用いたCRF01_AE薬剤耐性感染性クローンを樹立した。⑥超高感度RT活性測定法RT2を確立した。
結論
調査プロトコルの策定等の新規感染者調査の基盤構築を行った。血中濃度モニタリングの情報発信と検査を提供した。血中濃度測定の臨床的有効性について立証した。薬剤耐性化機序の解析と新たな検査技術開発に取り組んだ。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-