ビブリオ・バルニフィカスによる重篤な経口感染症に関する研究

文献情報

文献番号
200400629A
報告書区分
総括
研究課題名
ビブリオ・バルニフィカスによる重篤な経口感染症に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂貴(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小野友道(熊本大学医学部)
  • 田村和満(国立感染症研究所)
  • 渡辺治雄(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Vibrio vulnificusによる重篤な感染症防止対策のための基礎的知見の収集と防止対策を検討する。
研究方法
(1)診断治療マニュアルを作成した。
(2)全国5カ所で海域、魚貝類の汚染実態調査を行った。
(3)血清型の分布を調べた。
(4)病原因子を患者分離株と環境分離株で比較した。
(5)マウスを用いた病原性評価法を検討した。
結果と考察
1.臨床的対応:Vv感染症の警告書と診断・治療ガイドラインを作成し、全国約1000施設に配布した。
2.細菌学的対応:1)全国5カ所(宮城、神奈川、広島、島根、熊本)における定点海域を5月から10月にかけて調査し、海泥では5-9月に、海砂では6-8月に、海水では6-9月に分離された。海水温度は20℃以上で分離された。貝類(アサリ、アオヤギ)は同様の時期に分離された。汽水域のエビ、あなご、すずきからも分離された。食中毒検体を調査したがVvは分離されなかった。2)アサリを10^3-10^4Vv添加海水中に20時間浸漬後、滅菌海水中に保存、1,2,3,5日後の菌数を観察した。5℃および15℃保存のいずれも菌数はそれぞれ1%、3%に減少した。3)O1からO16の血清型がすべて分離されたが、特にO1,O4,O6が多く分離された。4)病原性に関係すると考えられる遺伝子の保持状況を、患者由来株、環境由来株について、PFGE法やPCR-RFLP法を用いて解析した。PFGE法による解析で異なる年代、地域からの患者由来株間で類似のパターンが観察されたが、環境由来株には患者由来株と類似のパターンを示すものが見いだせなかった。PCR-RFLP法ではviuB遺伝子を含めたシデロフォア産生に関わる遺伝子群について患者株間と環境由来株間で比較したところ、患者株において類似したRFLPパターンが確認された。5)マウスを用いた病原性評価法を開発した。
結論
(1)医師へのVvに関する情報を発信し、認知度を上昇させておく必要がある。
(2)全国調査において海水や魚介類とくに2枚貝などがVvを保有していることから、肝硬変や肝ガン等の肝臓に基礎疾患のある人に対する情報提供が重要と考えられた。
(3)マウスを用いた病原性評価法を開発した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200400629B
報告書区分
総合
研究課題名
ビブリオ・バルニフィカスによる重篤な経口感染症に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂貴(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小野友道(熊本大学)
  • 渡辺治雄(国立感染症研究所)
  • 岡部信彦(国立感染症研究所)
  • 田村和満(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Vibrio vulnificus感染症発生実態の解明、魚介類の汚染実態、分離株の遺伝学的性状解析による発生機序の解析、病原性評価法の開発を行うことにより、事前の警報システムを確立し、本感染症の発生予防法を確立すること。
研究方法
(1)Vv感染症のついての報告文献集編纂および発生状況の検討。
(2)Vv感染症患者の肝機能を中心とした予後調査。
(3)Vv感染症発生についての5年間の発生状況についての調査
(4)Vv感染症についての診断と治療マニュアルの作成と全国皮膚科専門医施設への送付
(5)Vvの分離法の検討および全国レベルでの魚介類や環境中の汚染度の実態調査。
(6)患者分離株と環境分離株の病原性に関連すると考えられる遺伝子を比較
(7)マウスを用いて病原性評価法を開発。
結果と考察
(1)1999年までの10年間に93例の報告があった。
(2)ウイルス性肝炎及び肝硬変などの基礎疾患がある人で重症化し、敗血症を発症すると致死率は約72%であった。
(3)1999年から2003年までに男79人、女15人の94人が発症し、61歳+-13.3歳であった。
(4)診断・治療マニュアルを作成し、全国皮膚科専門医施設へ送付した。
(5)環境汚染度は腸炎ビブリオ(Vp)とほぼ同様で、多くの魚介類から検出されたが特に二枚貝で高率に分離された。また海水温度が15℃以上になる5月から10月に検出される事が解明された。血清学的分布は臨床分離株および環境分離株間では特異的な傾向は見られなかった。
(6)病原因子検討のため、本菌が特異的に保有するヘモリジン遺伝子について調べたところ、両者に明瞭な差を見いだせるものはなかった。PFGE解析はNotI,SfiIのどちらの制限酵素を使っても血清型によってその泳動パターンはかなり異なっていた。
(7)マウスを用いた分離株の病原性評価法を開発した。
結論
(1)Vv感染症の危険のある患者、特にウイルス性肝炎患者に対してその危険性を啓蒙可能となった。
(2)Vv感染症の診断および治療マニュアルを作成し、全国皮膚科専門医施設へ送付した。
(3)Vvは海水温が15℃以上になる海域で分離され、貝類の汚染が中心であった。
(4)Vvの病原性をマウスを用いて評価可能となった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-