百日咳菌、ジフテリア菌、マイコプラズマ等の臨床分離菌の収集と分子疫学的解析に関する研究

文献情報

文献番号
200400626A
報告書区分
総括
研究課題名
百日咳菌、ジフテリア菌、マイコプラズマ等の臨床分離菌の収集と分子疫学的解析に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 次雄(国立感染症研究所細菌第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 堀内善信(国立感染症研究所細菌第二部)
  • 高橋元秀(国立感染症研究所細菌第二部)
  • 見理 剛(国立感染症研究所細菌第二部)
  • 荒川宜親(国立感染症研究所細菌第二部)
  • 成田光生(札幌鉄道病院小児科)
  • 菊池 賢(東京女子医科大学感染症科)
  • 諸角 聖(東京都健康安全研究センター微生物部)
  • 山崎 勉(埼玉医科大学感染症科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「感染症法」指定呼吸器系細菌感染症の病原体として、ジフテリア(第2類)、百日咳(新5類)、マイコプラズマ肺炎(新5類)並びに細菌性髄膜炎(新5類)起因の臨床分離株を収集し、薬剤耐性を含むそれら臨床分離株の遺伝学的特性を最新の分子生物的手法を駆使して解析し、その結果を我が国におけるこれら病原体の流行把握並びに感染症予防に貢献させることを研究目的とする。
研究方法
全国91の医療施設で百日咳疑い患者より得られた鼻咽頭スワブ300検体につき、培養法とnested duplex PCR法による百日咳菌検出を行った、また百日咳臨床分離株をプロテオーム解析に供試した。1都4県、合計12施設49名の小児科担当医療従事者から採血を行い、百日咳とジフテリアに対する抗体価を測定した。マクロライド耐性M. pneumoniaeの疫学調査並びに臨床所見を解析した。国内外で分離されたインフルエンザ菌の薬剤感受性や薬剤耐性遺伝子について検討した。
結果と考察
百日咳菌の培養陽性は59件(19.7%)、ndPCR陽性は112件(37.3%)で、ndPCRは感度、特異性に優れていた。医療従事者における百日咳・ジフテリア抗体調査では、百日咳菌の凝集素価の変動が6名で、ジフテリア抗毒素価の有意な上昇が1名で認められた。マクロライド耐性M. pneumoniaeの分離率は約15%、マクロライド耐性肺炎マイコプラズマ患者群で有熱期間が有意に延長していた。インフルエンザ菌のみが起炎菌として検出された小児肺炎における投与抗菌剤の治療効果について解析した結果、ABPCのMICが2.0μg/ml以下の場合と4.0μg/ml以上の場合で抗菌薬治療の選択を違えた方が良いとの結論に至った。
結論
百日咳感染ルートとして、医療従事者を中心とする成人百日咳が予想以上に大きいことが推察された。M. pneumoniaeの流行型(Ⅰ型とⅡ型)が8?10年周期で入れ替わる原因としてHA阻害活性抗体の関与が示唆された。マクロライド耐性M. pneumoniae 感染患者群においてマクロライド剤開始から解熱までの期間が統計学的に有意に延長していた。インフルエンザ菌による小児肺炎において、ABPCのMICが2.0μg/ml程度の場合は、治療薬としてペニシリン系抗菌薬が、ABPCのMICが4.0μg/ml以上の場合は、治療にはセフェム系等の抗菌薬が考慮された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-