ポリオ及び麻疹の現状とその予防接種の効果に関する研究

文献情報

文献番号
200400624A
報告書区分
総括
研究課題名
ポリオ及び麻疹の現状とその予防接種の効果に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 達夫(聖マリアンナ医科大学小児科学)
研究分担者(所属機関)
  • 宮村 達男(国立感染症研究所ウイルス第二部ウイルス学)
  • 髙山 直秀(東京都立駒込病院小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
16,875,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ポリオ及び麻疹の現状とその接種の効果
研究方法
1.ポリオ
  年齢別のポリオ中和抗体陽性率、満3歳に達した小児のポリオ生ワクチン累積接種率を月齢 別に全国レベルで調査した。
2.麻疹
 1) 全国及び各市区町村から3歳児を抽出して麻疹ワクチン接種月齢を調査し累積接種率を求  めた。
 2) 麻疹ワクチン接種歴が明らかな6歳児と12歳児を対象に麻疹抗体を検査し、初回麻疹ワ  クチン接種による抗体の持続と追加接種の有効性と安全性を検討した。
 3) 麻疹生ワクチン接種後観察検査できた例、また麻疹流行後、血清を採取した麻疹ワクチン  歴のある者を対象に麻疹抗体価を測定した。
結果と考察
1.ポリオ
  OPV累積接種率は、月齢別に全国レベルで極めて高い接種率が保たれている。さらに1型 及び2型ポリオウイルス中和抗体保有率はワクチン接種後の年齢群(2-3歳)で、それぞれ9 8%及び99%と高い接種率を反映している。また、3型の保有率は77%で1型及び2型よ り低く、以前の感受性調査と同様の結果であった。
2.麻疹
 1) 日本全国での麻疹ワクチン累積接種率は、生後18ヵ月で約72%、24ヵ月で約8    6%、36ヵ月で約91%であることが判明した。
 2) 検査した6歳児と12歳児の約76%で麻疹HI抗体価が16倍以下と不十分なレベルに  あり、追加接種を行ったところ大多数で抗体上昇がみられた。
 3) 接種後1-3年の短期間で中和抗体価及びHI抗体価の減衰を解析した。接種後の期間が  短いと抗体価の減衰は予測できなかった。
   流行が起こると低HI抗体価群は不顕性感染により抗体価が上昇することが確認された。  これまでワクチン接種により獲得された抗体価が維持できていたのは、麻疹流行により追加  効果が得られていたためと考えられる。麻疹流行規模が小さくなると抗体価は減衰していく  ことが確認された。これにより、今後は2回目のワクチン接種により抗体価の上昇を図って  おく必要があると考えられる。
結論
1.ポリオ
  我が国におけるポリオコントロールについては、高いワクチン接種率を保ちつつ、不活化ワ クチンへの切り替え、他の新生児ワクチンの同時接種方式の検討を行い、ワクチンによって予 防可能な疾患のコントロール体制を確立すべきである。
2.麻疹
  麻疹ワクチン接種後の発症及び乳児の羅患を防止するためには、麻疹ワクチン2回接種法の 早期導入が望まれる。ワクチン接種後の経過観察、2回接種法導入後の抗体 価の推移、及び 麻疹流行状況を地域毎に詳細に観察し、1回目の接種率をさらに向上させる方策を検討する。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-