愛玩動物の衛生管理の徹底に関する研究

文献情報

文献番号
200400622A
報告書区分
総括
研究課題名
愛玩動物の衛生管理の徹底に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
神山 恒夫(国立感染症研究所(獣医科学部))
研究分担者(所属機関)
  • 荒島康友(日本大学(医学部))
  • 今岡浩一(国立感染症研究所(獣医科学部))
  • 宇根有美(麻布大学(獣医学部))
  • 岸本寿男(国立感染症研究所(ウイルス1部))
  • 佐野文子(千葉大学(真菌医学研究センター))
  • 丸山総一(日本大学(生物資源学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
12,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 愛玩動物はヒトと最も近い距離にあり接触時間も長い。近年、愛玩動物由来感染症の報告が増加し、今後、公衆衛生問題となることが危惧される。しかし、愛玩動物由来感染症に対する公衆衛生対策は十分には行われてこなかった。
 本研究では、おもな愛玩動物由来感染症の発生状況の調査と検査・診断技術の開発を行い、それらの結果に基づいて愛玩動物の衛生管理の徹底を図るための情報提供と監視体制を充実させることを目的とする。これによって動物由来感染症対策の充実が期待され、公衆衛生上の意義がある。
研究方法
 各種愛玩動物および飼い主における動物由来感染症に関する意識、ならびに衛生管理状況の調査を行う。
 主要な愛玩動物由来感染症の検査の迅速・簡便化を図るため、遺伝子診断法および血清診断法の開発と改良を行った。
結果と考察
 愛玩動物由来感染症に関する意識調査から、多くの市民は愛玩動物由来感染症に関して認識が高いものの、その予防法に関しては知識や情報が不足していることが示された。公衆衛生・獣医公衆衛生関係者からは監視・検査体制の整備が求められた。今後は的確な情報の提供によって愛玩動物衛生管理の徹底化と、動物由来感染症予防対策の充実を図る必要がある。 実験室診断の迅速性と正確性に問題が残されていた咬傷関連感染症、ブルセラ症、エキゾチックペット由来感染症、オウム病、真菌症、および猫ひっかき病等を中心に診断法の検討を行った。その結果、遺伝子診断法、血清診断法などの技術的な開発・改良によって、特異性と迅速性に優れた診断法が開発された。今後は、新しく開発された診断技術によって病院や動物病院等における愛玩動物由来感染症発生状況の調査を行い、実態を精査する必要性がある。
 また、エキゾチックペットがヒトへ希少な感染を伝播する危険性も明らかになった。さらに、本来はヒトの感染症が、愛玩動物を介して拡散する危険性に対しても対策が必要なことを指摘した。従来はこれらに対して取り組みが行われていないことから、新しい愛玩動物由来感染症として対策が急がれる。
結論
 以上、本研究の成果は愛玩動物の衛生管理の徹底と動物由来感染症対策をはかるために有用であることを示し、今後は広く情報を開示し、啓発活動を進める必要性が指摘された。また、動物由来感染症の監視システムと検査機関を整備する必要性、および医療と動物医療の間の連携の円滑化の必要性が痛感される。

公開日・更新日

公開日
2005-04-20
更新日
-