節足動物媒介性ウイルスに対する診断法の確立、疫学及びワクチン開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400620A
報告書区分
総括
研究課題名
節足動物媒介性ウイルスに対する診断法の確立、疫学及びワクチン開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
倉根 一郎(国立感染症研究所ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 小西 英二(神戸大学医学部)
  • 奴久妻 聡一(神戸市環境保健研究所)
  • 小林 睦生(国立感染症研究所昆虫医科学部)
  • 只野 昌之(琉球大学医学部)
  • 名和 優(埼玉医科大学)
  • 森田 公一(長崎大学熱帯医学研究所)
  • 江下 優樹(大分大学医学部)
  • 森川 茂(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 高崎 智彦(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 前田 秋彦(北海道大学医学部大学院獣医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
22,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)日本に侵入する可能性のある節足動物媒介性ウイルスに対する血清診断と病原体遺伝子診断法を確立する。(2)節足動物媒介性ウイルスの国内状況を血清・病原体及びベクターの面から把握する。(3)新ワクチンの開発に関する技術的基盤を確立する。(4)啓発用CD-ROMやビデオを作成し、国内における理解を深める。
研究方法
クリミア・コンゴ出血熱の核蛋白検出ELISA法の開発、デング熱遺伝子診断のためのLAMP法およびELISAを確立し検体を用いて有用性の検討を行った。ヒトスジシマカの分布域拡大は東北地方の各都市を中心に調査した。蚊のウエストナイルウイルス媒介試験はRT-PCR法により行なった。デング4価DNAワクチンとウエストナイルウイルスDNAワクチンの免疫原性はマウスお用いて評価した。研究は各研究機関の倫理委員会の承認を得て行われた。
結果と考察
クリミア・コンゴ出血熱の核蛋白検出ELISA法を開発した。デング診断における血清中IgA抗体検出の有用性を確認し、新遺伝子診断法としてRT-LAMP法を確立した。輸入デング感染症27症例を確認した。日本脳炎ウイルス年間自然感染率を推定した。また、無菌性髄膜炎症例の髄液中に日本脳炎ウイルス遺伝子を検出した。東北地方におけるヒトスジシマカの分布域拡大を確認した。イナトミシオカがウエストナイルウイルスに感受性を有することを示した。基礎的研究においては、サルにおけるデングウイルス感染増強抗体の出現を示した。また、デング4価DNAワクチン、ウエストナイルDNAワクチンの免疫原性を確認した。ウエストナイル熱に関する一般向け啓発ビデオ、CD-ROMを広く配布した。研究成果は以下の点で厚生労働行政に貢献する。感染及び侵入をより迅速に検出することを可能にし、早期治療や予防対策の策定を可能にする。ベクターのサーベイランスに基づく有効な感染蚊対策と水際対策を可能にする。新型ワクチン開発を迅速な進展を可能にする。
結論
日本に侵入する可能性のある節足動物媒介性ウイルスに対する血清診断と病原体診断法の確立、国内状況の血清・病原体及びベクターの面からの把握、節足動物媒介性ウイルスに対する新ワクチンの開発に関する技術的基盤の確立、において実績を上げた。また、国内におけるウエストナイル熱の理解を推進した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-12
更新日
-