回帰熱、レプトスピラ等の希少輸入細菌感染症の実態調査及び迅速診断法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400617A
報告書区分
総括
研究課題名
回帰熱、レプトスピラ等の希少輸入細菌感染症の実態調査及び迅速診断法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
増澤 俊幸(静岡県立大学・薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 川端寛樹(国立感染症研究所・細菌部)
  • 小泉信夫(国立感染症研究所・細菌部)
  • 角坂照貴(愛知医科大学・医学部)
  • 高橋英之(国立感染症研究所・細菌部)
  • 大橋典男(静岡県立大学・環境科学研究所)
  • 藤田博巳(大原綜合病院付属大原研究所)
  • 小林睦生(国立感染症研究所・昆虫医科学部)
  • 後藤郁夫(神戸検疫所・輸入食品検疫検査センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
げっ歯類等を保有動物、あるいはダニなどの節足動物を媒介者とするヒトと動物共通共通感染症、具体的にはレプトスピラ病、回帰熱、ライム病、野兎病、エーリキア症、塹壕熱(バルトネラ属細菌を含む)、ペストの分布実態、並びに輸入動物を介した侵入の有無を調査するとともに、迅速な検出法、診断法、予防法の整備を行う。
研究方法
上述の病原体の分離、検出を行い保有、分布の実態解明を行うとともに、診断、予防、検出法の整備、確立を行った。
結果と考察
野鼠のレプトスピラ保有率は4.1%であること、輸入げっ歯類アフリカヤマネからこれまで日本に存在しない血清型を見出した。また、培養できないがPCRでは輸入げっ歯類の10%がレプトスピラを保有した。血清型基準株192株を用いて、gyrBデータベースを完成させ、これを利用した血清型の推定法の開発に成功した。レプトスピラ症に関する情報提供の一手段として、WHOオフセット出版のHuman Leptospirosisの日本訳を完成した。レプトスピラLig抗原決定基がそのN末端側に存在することを明らかにし、広域ワクチン抗原となることを示唆した。野鼠、媒介ヒメダニ、および路上生活者に寄生するコロモジラミからは回帰熱ボレリアは検出しなかった。ライム病新規予防ワクチン候補抗原Oms28を見出した。日本紅斑熱の病原体Rickettsia japonicaに加え、病原性R. helveticaの分布を確認し、北陸地方で本症患者の発生を初めて確認した。野鼠からヒト単球型エーリキアに近縁なEhrlichia sp., ネズミ寄生E. muris, Candidatus Neoehrlichia mikurensisを見出した。新規バルトネラを60%の野鼠の血液から分離した。はじめて我が国のマダニがヒトアナプラズマ症病原体を保有することを示唆するデータを得た。ホームレス由来のコロモジラミ12.5% から病原体の遺伝子を検出したが、ホームレスの血液培養から病原体の分離には未だ成功していない。
結論
今日でも、レプトスピラが身近に存在し、感染リスクがあること、輸入動物を介したレプトスピラの侵入があることを初めて明らかにした。ペスト、野兎病は野鼠、輸入げっ歯類の感染状況の調査では今のところ検出していない。本邦で初めてあらたな紅斑熱リケッチア、アナプラズマ、新規バルトネラを発見、あるいは検出した。

公開日・更新日

公開日
2005-06-27
更新日
-