食品由来のウイルス性感染症の検出法の高度化、実用化に関する研究

文献情報

文献番号
200400616A
報告書区分
総括
研究課題名
食品由来のウイルス性感染症の検出法の高度化、実用化に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
武田 直和(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 智之(堺市衛生研究所)
  • 谷口  孝喜(藤田保健衛生大学医学部)
  • 榮 賢司(愛知県衛生研究所微生物部)
  • 大瀬戸 光明(愛媛県立衛生環境研究所微生物試験室)
  • 篠崎 邦子(千葉県衛生研究所ウイルス研究室)
  • 斎藤 博之(秋田県衛生科学研究所)
  • 松岡 由美子(熊本市環境総合研究所)
  • 入谷 展弘(大阪市立環境科学研究所)
  • 西尾 治(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 名取 克郎(国立感染症研究所ウイルス第二部)
  • 片山 和彦(国立感染症研究所ウイルス第二部)
  • 岡 智一郎(国立感染症研究所ウイルス第二部)
  • 白土 東子(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
17,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.患者便、血清、環境からの下痢症ウイルス抗原検出において、迅速性、簡便性、効率の向上を計る
2.原因食品からの下痢症ウイルス抗原定量法を確立する
3.検査材料別に下痢症ウイルス検査法を確立しその検出限界を明らかにする
研究方法
組換えバキュロウイルスでノロウイルス(NoV)中空粒子(VLPs)を作製し、単クローン抗体を用いたNoV抗原検出ELISA、IC kit を構築した。井戸水、あるいは環境水からウイルスを濃縮し、塩基配列を決定し系統解析を行った。ビオチン化プライマーを用いたRT-PCRを行ない、産物をSSCP解析した。ファージディスプレイ法により抗ロタウイルスヒト型抗体を単離した。種々の遺伝子領域を組み込んだプラスミドを293T細胞にトランスフェクションし細胞内で合成された蛋白、RNAを解析した。Rabbit reticulocyte in vitro coupling transcription/ translation systemを用いてサポウイルス(SaV)ORF1を翻訳産物を解析した。カリシウイルスに特化したデータベースを作成し、DDBJと協力しながら遺伝子解析を可能にするシステムを構築した。VLPsを血液型物質の結合を解析した。
結果と考察
NoV抗原検出ELISAが実用の域に達した。検査法の高感度化が着実に進展し、河川、井戸水、海水など環境に由来するNoV感染が的確に捉えられるようになってきた。遺伝子増幅法と塩基配列の系統解析による流行株の同定は、既にわが国におけるNoV検出の標準法として位置づけられるまでになった。データデースを基に、分子系統解析法マニュアルをアップロードした。NoVの複製機構、SaVの切断地図作成が進展し、予防・治療を目的とした創薬研究の足がかりができた。NoVの結合には型物質以外の因子を必要とするNoVもあることが明らかになった。NoVの同定におけるSSCP解析の有効性を明らかにした。ファージディスプレイ法により感染防御能を有する抗ロタウイルスヒト型単クローン抗体を分離した。NoV診断ICキットの構築を試みた。
結論
NoV診断ICキットの構築を行ったが、感度、特異性の向上を図る必要がある。ELISAの感度向上には、更なるVLPsと単クローン抗体研究を推進する必要がある。NoVの分子疫学から、GⅡ/4 の遺伝子の変化と、老人施設、障害者施設、病院での集団発生の増加との関連性が推測された。環境からのNoVによる感染症・食中毒が急増していることを啓発していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-18
更新日
-