インフルエンザパンデミックに対する危機管理体制と国際対応に関する研究

文献情報

文献番号
200400609A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザパンデミックに対する危機管理体制と国際対応に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
田代 眞人(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
研究分担者(所属機関)
  • 喜田宏(北海道大学大学院研究科)
  • 河岡義裕(東京大学医科学研究所)
  • 岡部信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 小田切孝人(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
  • 鈴木宏(新潟大学 医学部)
  • 鈴木康夫(静岡県立大学 薬学部)
  • 菅谷憲夫(けいゆう病院 小児科)
  • 奥野良信(大阪府公衆衛生研究所 ウイルス課)
  • 神谷齋(独立行政法人国立病院機構三重病院)
  • 東 雍((社)細菌製剤協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
87,358,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東アジアで流行中のH5N1型鳥高病原性インフルエンザでは、高い致死率を示すヒト感染例も増加しており, HPAI由来の新型インフルエンザ大流行が危惧されている。未曾有の健康被害が生じ,社会活動の破綻が起こる可能性が高いので,パンデミックに備えた事前準備と発生時の対応行動計画を策定し,それを実施しておくことが必要である。そのために,1.健康被害を最小限に抑え,社会機能の維持を目的とした事前準備計画の策定。2.大流行発生時における対応・行動計画の策定。3.新型ワクチンの緊急開発と非臨床試験,臨床試験の実施。4.地球レベルでの危機対応としてのWHO等との国際協力を行う。
研究方法
高病原性鳥インフルエンザの流行実態の把握と流行ウイルスの解析,ヒトへの感染・流行のモニターなど,国際的なインフルエンザ監視網に協力し,流行の把握と解析した。H5N1型ウイルス株から,リバースジェネティクス技術により,弱毒型のワクチン候補ウイルスの作製技術を確立した。また,アジュバント添加ワクチンの作製と前臨床試験を実施した。健康被害を最小限とするために,医療関係者の健康確保を第1の優先順位におき,緊急措置の検討を行った。WHOガイドライン,新型インフルエンザ検討会報告書に基づいて,我が国における新型インフルエンザ準備計画の策定を進め,WHO専門家会議やG7専門家会議など国際協力体制の整備確立につとめた
結果と考察
1.我が国における新型インフルエンザ対策の基本方針案の提言し,厚生労働省における新型インフルエンザ検討会で検討に付され,報告書としてまとめられた。これに沿って行動計画案を検討し,国の新型インフルエンザ準備計画の策定を進めた。2.ベトナム患者のH5N1型分離ウイルスを,リバースジェネティクス操作によって弱毒化し高増殖性の遺伝子分節再構成ウイルスの作製を行った。これを用いて,ワクチン製造用原株の開発,試作,製造を行い,さらにアルミアジュバント添加ワクチンの試験製造を行った。国内メーカーと協力して,非臨床試験を実施した。3.抗ウイルス剤備蓄計画を提言し,科学的根拠を検討した。また,薬剤耐性ウイルスの国際的モニターを行った。4.WHOインフルエンザ研究網及びベトナム,中国,タイ,インドネシア,インド,モンゴル等との国際協力,緊急技術支援を行った。
結論
インフルエンザパンデミック対策は地球レベルの危機管理問題であり,目的は1)新型インフルエンザの出現を阻止または遅らせ,2)健康被害を最小限にとどめ,3)社会機能の崩壊を防ぐことにある。これらに対する準備・対応計画の確立が急務である。

公開日・更新日

公開日
2005-05-24
更新日
-