食品由来感染症の細菌学的疫学指標のデータベース化に関する研究

文献情報

文献番号
200400605A
報告書区分
総括
研究課題名
食品由来感染症の細菌学的疫学指標のデータベース化に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 治雄(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 長野 秀樹(北海道立衛生研究所 ウイルス科)
  • 甲斐 明美(東京都健康安全研究センター 微生物部)
  • 松本 昌門(愛知県衛生研究所)
  • 瀬戸 和子(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 田中 博(愛媛県立衛生環境研究所)
  • 堀川 和美(福岡県保健環境研究所)
  • 寺嶋 淳(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
20,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 腸管感染症の大規模集団発生あるいは、散在的集団発生により被害が拡大するようなケースが見られる。被害の拡大を未然に防ぐためには、感染および汚染原因の迅速なる究明およびその除去が不可欠となる。患者情報とその情報を科学的に裏付けするための菌学的解析結果の2面からの判断が重要となる。菌側からの解析システムとして、パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)が行われており、感染症の集団発生および散在的集団発生を迅速に検知し、その拡大を未然に防ぐことに貢献してきている。本研究では、標準化プロトコールにより種々の事例由来株の解析を行い、技術の精度を維持或いは改良することを目的とした精度管理を行う。さらに、互換性のあるデータベースの構築を行う
研究方法
全国に75ある地方衛生研究所(地研)を対象に標準化プロトコールに基づいて我が国の解析技術の均一化,およびその精度管理を行う。新しく作成した解析ソフト(Fingerprinting II)を使用してPFGE画像を処理することにより,お互い菌の相同性を識別し,離れた場所あるいは離れた時間において分離された菌が同一汚染原因由来のものかどうかを判定する方法を開発する。
結果と考察
基準株Salmonella Braenderup H9812株を使用し標準化プロトコールに基づいて各ブロックでの精度管理を継続した。各ブロック内での精度管理の結果から、標準化プロトコールを使用することでより高精度の解析結果が得られデータの互換性が確保されてきていた。新しい解析ソフトによる系統樹作成から分離株のサブタイピングを行い、広域共通パターンについては、従来の目視によるサブタイピングよりも高精度での検出が可能であり、頻度が低いパターンにおいても見逃すことなく検出できた。標準化プロトコールでのデータの互換性については、日米間での腸管出血性大腸菌O157と赤痢菌の2事例においてそれぞれの解析結果が両国で一致していることが確認されたことから、十分に信頼できる互換性が確保できていると考えられる。
結論
PFGEの解析方法の技術的な精度管理が重要であるとともに、情報共有のための手段としてInternet利用の情報還元システムも推進すべきと考えられた。PFGE解析のネットワークの中核となる全国の地研が解析技術を維持し改良できるような継続的支援システムが求められている。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-