SARSウイルス感染阻止化合物の探索

文献情報

文献番号
200400597A
報告書区分
総括
研究課題名
SARSウイルス感染阻止化合物の探索
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
菅村 和夫(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 石坂 幸人(国立国際医療センター)
  • 服部 俊夫(東北大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
31,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS)「重症急性呼吸器症候群」の複製様式を研究し、特異的阻害剤を発見する。我々が細胞内シグナル伝達分子として同定したSTAM,HrsはESCRT-0に分類され種々の蛋白の輸送制御に関わる。そこで本研究においてはこれらの小胞輸送系蛋白に焦点をあてることにより、SARSウイルスの細胞内吸着から細胞内侵入に至る過程およびウイルス成熟と出芽の詳細を明らかにする。これらのウイルスのライフサイクルを阻害する生理活性物質の検討を行う。このためには多くの阻害薬を高効率にスクリーニングすることが必要であるため、あらたなin vitro実験系を構築し、海洋生物、漢方由来エキスを網羅的に探索することによりSARSウイルスの発症コントロールを視野に入れた包括的生理活性物質探索を行う。
研究方法
STAM1/SATM2ダブルノックアウト細胞株(SSd) Hrsノックアウト細胞株(HRSd)を作成し、これらのこの細胞株をレトロウイルスベクターを用いてHRSを戻した細胞株(HRSdRe)を樹立し、遺伝子および蛋白の発現の確認を行った。そこにポリオウイルス、サイトメガロウイルスを感染させた。ヒト型に改変されたS蛋白質と受容体であるACE-2をそれぞれ発現させた。その結合を種々の条件で検討する。またS蛋白を表面に持つ、偽ウイルスを作成し、適当な標的細胞を見いだし、多検体をスクリニングできる系を開発する。SARSウイルス侵入阻害物質を発見する。
結果と考察
様々な条件で比較して3種類のプラスミッドを293T細胞に導入して得て作成した偽ウイルスが最も安定性が高いことが明らかになった。これらの偽ウイルスを用いて、ヒト肝臓由来細胞株であるHepG2への感染効率が高いことが明らかになり、96穴のプレートによりルシフェラーゼ活性を測定できることが明らかになった。
結論
小胞輸送関連物質のSARS複製に及ぼす役割が明らかになってきた。また新たな感染抑制物質を発見するためのスクリーニング系が開発された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-19
更新日
-