国内の患者症例報告に基づく動物由来感染症の実態把握及び今後の患者症例報告収集と検索システムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400595A
報告書区分
総括
研究課題名
国内の患者症例報告に基づく動物由来感染症の実態把握及び今後の患者症例報告収集と検索システムの開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
高山 直秀(東京都立駒込病院小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 内田幸憲(厚生労働省神戸検疫所)
  • 唐澤祥人(東京都医師会)
  • 川島龍一(神戸市医師会)
  • 大西健児(東京都立墨東病院感染症科)
  • 丸山総一(日本大学生物資源科学部)
  • 福士秀人(岐阜大学応用生物科学部)
  • 赤尾信明(東京医科歯科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国では動物由来感染症の実態把握が不十分で,検査体制の確立も後れているため,わが国においてこれまで発表された動物由来感染症の症例を可能な限り多数例収集して動物由来感染症の実態を明らかにし,そのデータを診療現場の医師や獣医師に提供して動物由来感染症の診断に利用可能とし,動物由来感染症を疑う場合には必要な検査を行える機関を紹介するなどの診断上の援助を実施できる体制を確立する必要がある。
研究方法
1)動物由来感染症の実態を知る目的で文献データベースを利用して,1998年から2004年の間に公表された動物由来感染症の症例報告を39疾患をキーワードとして検索した。2)診療現場における動物由来感染症の現状を知るために,医師会員及び獣医師会員の一部を対象にアンケート調査を行った。3)検体採取から搬送までの手順を簡素化するために、濾紙に染みこませた血液を用いた検査が可能か否かを検討した。
結果と考察
1)上記期間に1件以上の症例報告が掲載された疾患は24疾患であり,バルトネラ菌症が60件,症例数84例,トキソプラズマ症が43件,59例,パスツレラ症が29件,41症例であった。今後は個々の症例の解析を進める。2)診療現場の医師や獣医師へのアンケート調査から,診断に関してマニュアルがない,検査依頼機関が不明などが問題点であること,動物由来感染症診療上で医師と獣医師との連携が乏しい事態が判明した。3)濾紙採血した検体でも一部の抗体検査は可能であり,検体を数ヶ月保存しても結果に悪影響のないことが判明した。
結論
症例報告に基づく動物由来感染症の実態把握には発生した症例の一部しか把握できない欠点はあるものの,個々の症例を十分分析することにより得られた情報を医療および獣医療現場に還元すれば,医師,獣医師から指摘された情報がないという動物由来感染症診療上の問題点を解決できる。また,検査依頼先の問題は,濾紙採血による検査法の開発,実用化によって解決できるものと期待される。アンケート調査により,動物由来感染症を診療するうえで医師と獣医師との連携が乏しい事態が判明したので,今後医師と獣医師が動物由来感染症に関して情報交換し,相互に診療依頼ができる体制を確立する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-