ツベルクリン検査、BCG等に代わる結核等の抗酸菌症に係る新世代の診断技術及び予防技術の確立

文献情報

文献番号
200400588A
報告書区分
総括
研究課題名
ツベルクリン検査、BCG等に代わる結核等の抗酸菌症に係る新世代の診断技術及び予防技術の確立
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
牧野 正彦(国立感染症研究所(病原微生物部))
研究分担者(所属機関)
  • 竹森 利忠(国立感染症研究所(免疫部))
  • 荒川 宜親(国立感染症研究所(細菌第二部))
  • 小林 和夫(大阪市立大学大学院医学研究科(感染防御学))
  • 高津 聖志(東京大学医科学研究所(免疫調節分野))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
抗酸菌感染症の簡便かつ迅速な診断法の開発、予防法の確立、新規薬剤の開発を目的とした。結核補助診断法は、樹状細胞とT細胞を利用した高感度システムを開発する。重要非結核性抗酸菌症であるMAC感染症の血清診断キットを開発し、その有用性を多施設において評価する。病原性抗酸菌と非病原性菌を簡便かつ高感度に鑑別するLAMP法を開発する。BCGの持つ新たな欠点を明らかにし改良BCGを作製する。免疫原性とアジュバント活性を持つAg85B由来Peptide-25のTh1細胞活性化機構を解析する。ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子を利用した抗結核薬の有効性を探る。
研究方法
Ag85a発現アデノウイルス反応性T細胞をIFN-gを指標に測定した。MAC糖脂質蛋白質を抗原とした血清診断キットを作製し、MAC症例の抗体価をELISA法で測定した。M. kansasiiとM. gastriを鑑別するLAMP法をdnaA遺伝子を用いて開発した。IL-1b処理単球由来樹状細胞の機能を、IL-12p70産生能とT細胞活性化能で評価した。Peptide-25を認識するTCR遺伝子導入マウスCD4陽性ナイーブT細胞の活性化機構を検討した。チミジンキナーゼ遺伝子を大腸菌等に導入し抗ヘルペス薬感受性を検討した。
結果と考察
A85a発現アデノウイルスに対する正常健常者 T細胞のIFN-g産性能を検討した。マウスの系と異なりAg85a特異的T細胞の活性化は観察されなかった。糖脂質蛋白抗原の抗原決定基は、その核であり、本抗原に対するIgA抗体は感度と特異性に優れていた。病原性菌と非病原性菌 を鑑別するLAMP法を樹立した。検出感度は500コピーであった。抗酸菌感染により末梢単球から産性されるIL-1bが単球に作用すると樹状細胞のIL-12p70産性能およびT細胞活性化能を著しく障害した。Peptide-25 TCR導入マウスT細胞の分化の運命付けに関与する免疫機構を解析した。Th1への分化の決定には、TCRからのシグナルが第一義的に重要であり、抗原提示細胞からのサイトカインや副刺激は二次的であった。チミジンキナーゼ遺伝子導入大腸菌では、抗ヘルペス薬に対する感受性が増進していた。
結論
結核補助診断法の開発、非結核性抗酸菌の迅速・簡便診断法およびワクチン開発を中心に研究を展開し、極めて重要な成果および知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2005-03-28
更新日
-