蝸牛内の外有毛細胞に発現するタンパク質モータPrestinの活性部位の探求に関する研究:Prestin改変による感音難聴とその治療戦略

文献情報

文献番号
200400584A
報告書区分
総括
研究課題名
蝸牛内の外有毛細胞に発現するタンパク質モータPrestinの活性部位の探求に関する研究:Prestin改変による感音難聴とその治療戦略
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
和田 仁(東北大学大学院工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 俊光(東北大学大学院医学系研究科)
  • 熊谷 泉(東北大学大学院工学研究科)
  • 池田 勝久(順天堂大学医学部)
  • 津本 浩平(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在,内耳疾患の治癒率が低い最大の原因は,我々の聴覚において重要な役割を果たしている内耳増幅機構,すなわち,OHCの伸縮メカニズムが不明なためである.従って,OHCの伸縮運動の源を担っている,タンパク質モータPrestinの機能を明らかにし,OHCの駆動メカニズムを解明することは内耳疾患の原因解明及びその治療にとって重要な意味を持つ.本研究では遺伝子工学的手法を用いて,Prestinの機能発現に重要な役割を果たしている部位の同定を目指す.
研究方法
N末端側の細胞内領域,C末端側に存在するSTASドメイン及び,127番目のアミノ酸から始まるアミノ酸配列GTSRHに注目し,その機能を調べた.N末端側の細胞内領域またはSTASドメインを欠損させたPrestin並びに,GTSRHをそれぞれアラニン(A)に変えた変異体及びセリン(S)をトレオニン(T)に変えた変異体を作製した.変異Prestinの発現と細胞内での局在をウェスタンブロッティング法と免疫染色法により評価し,また,その機能をパッチクランプ法により調べた.
結果と考察
ウェスタンブロッティングの結果,それぞれの変異体は正確な分子量をもって発現することが確認された.免疫染色の結果から,STAS ドメイン欠損Prestin 及びT128A変異体は,野生型Prestinが発現する細胞膜だけでなく細胞質内にも発現することが確認され,これらの部位がPrestinの局在に関わっていることが示唆された.一方,その他の変異体は細胞膜上にのみ発現することが明らかになった.パッチクランプ法による電位依存性膜容量の計測結果から,N末端側の細胞内領域欠損Prestin,STASドメイン欠損Prestin,H131A及びS129T変異体はその機能を失うこと,並びにG127A,T128A,S129A及びR130AはPrestinの機能を維持しているがその特性は変化していることが明らかになった.この結果は,これらの領域が,Prestinの構造変化に不可欠であることを示しており,これらの領域に変異が起こると,遺伝性難聴が引き起こされる可能性があることを示唆している.
結論
N末端側の細胞内領域,STASドメイン及びGTSRH配列はPrestinの機能に必要不可欠であり,これらの領域に変異が起こると遺伝性難聴が引き起こされる可能性のあることが示唆された.

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-