難聴が疑われた新生児の聴覚・言語獲得のための長期追跡研究

文献情報

文献番号
200400580A
報告書区分
総括
研究課題名
難聴が疑われた新生児の聴覚・言語獲得のための長期追跡研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
加我 君孝(東京大学(医学部))
研究分担者(所属機関)
  • 山岨達也(東京大学(医学部))
  • 福島邦博(岡山大学(医学部))
  • 都筑俊寛(帝京大学(医学部))
  • 坂田英明(埼玉県立小児医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
12,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新生児聴覚スクリーニングによって難聴が疑われ、精密聴力検査を受け、難聴の診断が確定した幼小児の、聴覚・言語発達の長期追跡研究を就学年齢まで行う。
研究方法
評価はWIPPSI、WISC-Rを用いた。①高度難聴群、②中等度難聴群、③人工内耳群に分けた。評価の年齢は小学校へ入学する時点の6歳である。
結果と考察
①高度難聴群:難聴は95dB、動作性IQは正常範囲の症例を対象とした。補聴下の教育の結果、0歳で発見された場合の就学年齢での言語性IQは100で正常範囲、1歳では90、2歳では80と遅い年齢で発見されるほど平均値で見る限り値が低いことがわかった。ただし各年齢群とも言語性IQの分布に幅があるのが特徴で、これは本人の素質、親の教育の姿勢、療育における聴覚学習の方法などが影響しているものと考えられる。②中等度難聴群:従来は就学直前で発見されることが多かったが、新生児聴覚スクリーニングにより早期に発見されるようになった点が画期的である。4歳未満で難聴が発見された場合とそれ以後に発見された場合を比較した。6歳の就学年齢で比較すると両群は同様に補聴器を装用したが、言語性IQで評価すると4歳未満の平均値は99.3±16.9で健聴児と有意差はないが、4歳以上では87.9±20.5で有意差を認めた。中等度難聴も早期発見早期療育が必要であることがわかった。ただし言語性IQの分布に幅があり、高度難聴で述べたような理由が考えられる。③人工内耳群:日本耳鼻咽喉科学会調査では先天性難聴の幼小児に対する手術年齢は2歳にピークがある。早期年齢の人工内耳手術による聴覚・言語発達に及ぼす影響は注目される。術後6歳になってから言語発達評価をすると、難聴以外に何等問題がない場合の言語性IQは90であるが、自閉症や学習障害が合併していると50と低い。補聴器あるいは人工内耳では合併症の有無の見極めが重要になると思われる。
結論
難聴の早期発見早期療育は大きな効果がある。ただし本人の素質、親の取り組み、療育施設の教育方法、合併症などの要因があり、聴覚・言語発達に影響がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200400580B
報告書区分
総合
研究課題名
難聴が疑われた新生児の聴覚・言語獲得のための長期追跡研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
加我 君孝(東京大学(医学部))
研究分担者(所属機関)
  • 山岨達也(東京大学(医学部))
  • 福島邦博(岡山大学(医学部))
  • 都筑俊寛(帝京大学(医学部))
  • 坂田英明(埼玉県立小児医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新生児聴覚スクリーニングによって難聴が疑われ、精密聴力検査を受け、難聴の診断が確定した幼小児の、聴覚・言語発達の長期追跡研究を就学年齢まで行う。
研究方法
評価はWIPPSI、WISC-Rを用いた。①高度難聴群、②中等度難聴群、③人工内耳群に分けた。評価の年齢は小学校へ入学する時点の6歳である。
結果と考察
①高度難聴群:難聴は95dB、動作性IQは正常範囲の症例を対象とした。補聴下の教育の結果、0歳で発見された場合の就学年齢での言語性IQは100で正常範囲、1歳では90、2歳では80と遅い年齢で発見されるほど平均値で見る限り値が低いことがわかった。ただし、各年齢群とも言語性IQの分布に幅があるのが特徴で、これは本人の素質、親の教育の姿勢、療育における聴覚学習の方法などが影響しているものと考えられる。②中等度難聴群:従来は就学直前で発見されることが多かったが、新生児聴覚スクリーニングにより早期に発見されるようになった点が画期的である。4歳未満で難聴が発見された場合とそれ以後に発見された場合を比較した。6歳の就学年齢で比較すると両群は同様に補聴器を装用したが、言語性IQで評価すると4歳未満の平均値は99.3±16.9で健聴児と有意差はないが、4歳以上では87.9±20.5で有意差を認めた。中等度難聴も早期発見早期療育が必要であることがわかった。ただし言語性IQの分布に幅があり、高度難聴で述べたような理由が考えられる。③人工内耳群:日本耳鼻咽喉科学会調査では先天性難聴の幼小児に対する手術年齢は2歳にピークがある。早期年齢の人工内耳手術による聴覚・言語発達に及ぼす影響は注目される。術後6歳になってから言語発達評価をすると、難聴以外に何等問題がない場合の言語性IQは90であるが、自閉症や学習障害が合併していると50と低い。補聴器あるいは人工内耳では合併症の有無の見極めが重要になると思われる。
結論
難聴の早期発見早期療育は大きな効果がある。ただし本人の素質、親の取り組み、療育施設の教育方法、合併症などの要因があり聴覚・言語発達に影響がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-