文献情報
文献番号
200400571A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性サイトメガロウイルス感染症による聴覚障害の実態調査並びに発症予防を目指した基礎的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大森 孝一(福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 藤枝 憲二(旭川医科大学小児科学講座)
- 錫谷 達夫(福島県立医科大学微生物学講座)
- 筒井 祥博(浜松医科大学病理学講座)
- 竹腰 正隆(東海大学医学部基礎医学系)
- 井上 直樹(国立感染症研究所ウイルス1部)
- 片野 晴隆(国立感染症研究所感染病理部)
- 小川 洋(福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
- 馬場 陽子(福島県心身障害児総合療育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症は全出生児250-300人に1人起こる頻度の高い感染症であり、不顕性感染者の約8%は、幼児期に進行性の聴覚障害を発症することが解ってきた。 1,000-2,000の出生に1人いるといわれる新生児・幼児の聴覚障害の約30%が先天性CMV感染によるものと予想される。本研究では、「新生児・幼児の聴覚障害者を約30%減少させる」ことを最終目標に、先天性CMV感染症による聴覚障害の実態調査並びに発症予防を目指した基礎的研究を行う。
研究方法
(臨床研究)聴覚障害を指摘された新生児・幼児患者に対して、他覚的精密聴力検査を行い、保護者のインフォームドコンセントが得られた患児を対象として、臍帯をPCR法で調べ、先天性CMV感染を確定診断する。
(基礎研究)①先天性CMV感染マス・スクリーニングの開発:ろ紙にしみこませた新生児尿からCMV・DNAをPCR法にて検出する方法を確立する。②CMV血清型の解析:日本人から分離されたCMV株を解析し、ウイルスの多様性を明らかにする。③全てのCMV株に対応できる抗体の樹立④CMV感染による聴覚障害発生機序の解明:マウスの実験系を用い、先天性CMV感染の聴覚障害機序を解析する。
(基礎研究)①先天性CMV感染マス・スクリーニングの開発:ろ紙にしみこませた新生児尿からCMV・DNAをPCR法にて検出する方法を確立する。②CMV血清型の解析:日本人から分離されたCMV株を解析し、ウイルスの多様性を明らかにする。③全てのCMV株に対応できる抗体の樹立④CMV感染による聴覚障害発生機序の解明:マウスの実験系を用い、先天性CMV感染の聴覚障害機序を解析する。
結果と考察
(臨床研究)臍帯に感染しているCMVをPCR法で検出することで、先天性CMV感染症を retrospective に確定診断する方法を確立した。この方法により、聴覚障害をもつ患児11名の臍帯において2名のCMV感染症を確認した。
(基礎研究)①新生児の尿から先天性CMV感染を非侵襲的に、感度良くスクリーニングする方法を確立した。②ウイルスの血清型別に患者がもつ抗CMV抗体を分別して測定できるELISA系を作製した。③中和活性を有するヒト型抗CMVモノクローナル抗体を数株樹立した。④マウスの動物実験系で、CMV感染が神経回路の形成やシナプス可塑性の障害を引き起こすことを明らかにした。
(基礎研究)①新生児の尿から先天性CMV感染を非侵襲的に、感度良くスクリーニングする方法を確立した。②ウイルスの血清型別に患者がもつ抗CMV抗体を分別して測定できるELISA系を作製した。③中和活性を有するヒト型抗CMVモノクローナル抗体を数株樹立した。④マウスの動物実験系で、CMV感染が神経回路の形成やシナプス可塑性の障害を引き起こすことを明らかにした。
結論
本年度は臨床的な研究から、聴覚障害児の臍帯からCMV感染の確認、基礎的な研究から尿からのスクリーニング法、中和抗体の樹立などができた。今後はこれらの研究結果を基盤とし、聴覚障害者のうち先天性CMV感染症の頻度や臨床的特徴の調査を進め、先天性CMV感染による聴力障害のメカニズムを明らかにし、先天性CMV感染による聴力障害の発症予防まで発展させたい。
公開日・更新日
公開日
2005-04-20
更新日
-