内耳エネルギー不全の病態解析に基づいた突発性難聴の新規治療法開発

文献情報

文献番号
200400570A
報告書区分
総括
研究課題名
内耳エネルギー不全の病態解析に基づいた突発性難聴の新規治療法開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松永 達雄(国立病院機構東京医療センター臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 藤井 正人(国立病院機構東京医療センター臨床研究センター)
  • 小川 郁(慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
突発性難聴の原因は不明であるが、内耳循環障害あるいはウイルス感染が原因の場合が多いと考えられている。急性内耳ミトコンドリア障害は急性内耳エネルギー不全を起こすため、循環障害による突発性難聴と病態が類似していると考えられる。本研究では急性内耳エネルギー不全による突発性難聴の動物モデルを用いて、その病態を解明し、治療方法を開発することを目的とした。
研究方法
1)エネルギー変化のATP bioluminescent assayによる定量、2)組織形態解析および聴覚の聴性脳幹反応(ABR)による解析、3)DNAマイクロアレイによる遺伝子発現パターンの網羅的解析、4)シャペロン分子発現のスクリーニング、経時的変化、局在の解析、5)炎症性サイトカインファミリー発現のスクリーニングおよび定量、6)小胞体ストレス関連分子発現のスクリーニングと定量、活性化解析、小胞体ストレスの聴覚への影響の解析、7)アポトーシス阻害による治療効果の機能的および組織学的解析、8)蝸牛線維細胞のアポトーシスとその後の再生、間葉系幹細胞移植による治療効果の検討、9)細胞増殖活性化とコネキシン分子発現の関係の検討。
結果と考察
1)50%程度蝸牛内ATP濃度減少の傾向を確認した。2)蝸牛外側壁に傷害が強く認められたことより蝸牛内イオン輸送機構の破綻が考えられた。3)複数のアポトーシス関連因子等の遺伝子発現に動きが見られた。4)複数のシャペロン分子で有意な変化が見られ、特にHSP70の変化が顕著であった。5)内耳エネルギー不全と一部の炎症性サイトカイン発現の関連が明らかとなった。6)一部の小胞体ストレス関連分子の発現と難聴の因果関係が示された。7)アポトーシス阻害の治療効果が明らかとなった。8)線維細胞アポトーシスと増殖が解明され、また幹細胞移植による治療効果が明らかとなった。9)腫瘍組織でのコネキシン蛋白の発現低下と局在の変化、コネキシン蛋白による細胞増殖抑制の傾向が明らかとなった。
結論
本モデルの難聴の病態が主として蝸牛外側壁線維細胞の変性によるカリウム輸送機構の破綻である可能性が示され、その過程に関与する様々な分子が同定され、線維細胞ではアポトーシスと共に再生が起こるため聴力が回復することが示された。アポトーシス阻害あるいは幹細胞移植により聴力の改善を期待でき、線維細胞の増殖にコネキシン蛋白の発現の関与する可能性も示された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-