新しい無侵襲的網膜機能計測法の開発および臨床応用

文献情報

文献番号
200400567A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい無侵襲的網膜機能計測法の開発および臨床応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
角田 和繁(独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター視覚研究部視覚生理学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 篠田 啓(慶応義塾大学医学部眼科学教室)
  • 東 範行(国立成育医療センター眼科)
  • 谷繁 学(理化学研究所脳科学総合研究センター脳統合機能研究チーム)
  • 平形 明人(杏林大学医学部眼科学教室)
  • 楠城 紹生(株式会社ニデック医療事業部診断機器グループ診断機器開発チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
網膜は視機能を維持する上で特に重要な部位であり、網膜の活動をイメージングしてその機能を正確に評価することは生理学的にも臨床的にも重要な課題である。本研究は、独自に開発した網膜内因性信号計測装置(FRG:網膜の局所的神経活動を画像化する装置)を実用段階に発展させ、これを臨床応用することで新しい非侵襲的網膜機能イメージング法を確立することを目標としている。
研究方法
平成16年度においては、①測定装置本体、周辺機器、データ解析ソフトウェアーの改善、および実験動物・正常ヒト眼底を用いた網膜内因性信号の基礎データ収集。ならびに、②臨床治験への準備としての病的網膜の形態的機能的評価を行った。
①については、既存のFRGプロトタイプを用いて、麻酔下の動物と正常ヒト被験者における理想的な測定条件(観察光波長、観察光量、刺激光強度、暗順応時間等)を詳細に検討した。得られたデータを元に、測定機器の性能を向上させるための改良を行った。
②については、各施設において、蛍光眼底造影および網膜電図による未熟児網膜症の網膜形態および機能の検討、硝子体手術を施行した黄斑分離症のOCT画像診断による形態学的検討、Scanning Laser Doppler Flowmetry法による網膜剥離眼黄斑部の機能評価の検討が行われた。
結果と考察
近赤外光観察下でのFRG計測により、霊長類生体網膜における視細胞の神経活動分布を初めてイメージングすることができた。FRGの観察光波長、暗順応時間および刺激光周波数等の測定パラメータを変更することにより、網膜の錐体・杆体視細胞の機能的マッピングばかりでなく、色素褪色変化や血流変化もマッピングすることができ、本計測法の検査適応の拡大が示された。また各施設で得られた患者における網膜機能評価研究では、それぞれ未熟児網膜症、高度近視眼や乳頭ピット黄斑症に伴う黄斑分離、網膜剥離における病態について新たな知見が得られており、各疾患における網膜内因性信号計測の必要性が示された。
結論
網膜内因性信号計測法の臨床応用にむけて機器開発、生体基礎実験、基礎的臨床データ収集の各研究部門が大きな進展を見せ、総合的にも実用化に向けて意義ある進捗が得られた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-