障害者プラン(障害者基本法第7条の2に規定される障害者基本計画を具体化するための重点施策実施計画)、それに基づく行政サービス等の評価指標に関する研究

文献情報

文献番号
200400554A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者プラン(障害者基本法第7条の2に規定される障害者基本計画を具体化するための重点施策実施計画)、それに基づく行政サービス等の評価指標に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
坂口 正之(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 白澤 政和(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
  • 岡田 進一(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
  • 所  道彦(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
  • 清水 由香(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究においては、最終年度として、行政評価の関連調査として、施設職員および施設長に対する意識調査を行った。今回は、そのような行政評価のための間接的な指標作りのために、3障害の施設職員や施設長に対して、さまざまな角度からの意識を尋ねることとした。特に、障害者プランや地域ケア・地域移行について尋ね、現状分析を行った。
研究方法
3障害者施設職員および施設長に対する意識調査の調査対象者は、それぞれの施設1カ所につき、施設職員1名、施設長1名で、合計1,100名に回答を依頼し、それぞれの回答を得るために、施設職員および施設長の2名に2部の質問紙を郵送した。質問紙は、施設職員用と施設長用があり、それぞれが回答できるようになっている。調査期間は、平成17年2月14日から3月11日までである。
知的障害者施設職員に対する地域移行意識調査の調査対象施設は、WAM―NETに登録されている近畿、中国、四国、九州、沖縄の全入所更正施設495カ所である。調査対象者は、それぞれの施設1カ所につき、施設職員1名(地域移行に直接関わっている職員)で、合計495名に回答を依頼し、質問紙を郵送した。調査期間は、平成16年10月26日から11月14日までである。
結果と考察
 知的障害および精神障害における地域ケア推進を担う施設職員および施設長の地域ケアに関する経験がかなり短い傾向が見られた。このことは、地域ケア計画を策定していく場合、入所および通所施設と綿密な打ち合わせや地域ケア推進に関する研修等を積極的に行わなければ、地域移行あるいは地域ケア推進事業が、かえって施設現場を混乱させる可能性がある。
 3障害の施設長で共通している考え方として、障害者の健康の維持およびADLの保持の援助を行うための施設組織構成および資源配分の改善(具体的には、利用者と職員の比率、職員の役割分担など)の必要性があげられる。そのことが必要と回答した施設長は、身体障害者施設長が約8割、知的障害者施設長が約8割、精神障害者施設長が約7割であった。
結論
本研究により、障害者プランの行政評価指標の一つに、施設職員および施設長の意識があげられ、障害者プランおよび地域ケアに関する重要概念の理解力が重視される。そして、そのような障害者プランに関する障害施設職員および施設長の理解力および意識が、間接的ではあるが、行政サービスの質に関する評価指標となると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200400554B
報告書区分
総合
研究課題名
障害者プラン(障害者基本法第7条の2に規定される障害者基本計画を具体化するための重点施策実施計画)、それに基づく行政サービス等の評価指標に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
坂口 正之(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 白澤 政和(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
  • 岡田 進一(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
  • 所 道彦(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
  • 清水 由香(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究においては、障害者プランに基づく行政サービス等の評価指標を、3つの観点から作成することを目的としている。行政サービスの質を直接測定することは、非常に難しいと考えるが、間接的な測定は可能であると考えた。
研究方法
 平成14年度から平成16年度にわたり、6種類の自記式質問紙による調査を実施した。それぞれの調査における回収率は、45%~65%であり、概ね良好な回収率であった。質問紙調査項目に関しては、本研究プロジェクトチームのメンバー以外の外部研究者による評価が実施され、調査項目の内容妥当性・信頼性(内的一貫性)は確保されている。
 
結果と考察
 本研究の結果、行政サービスの質の評価を行うための指標として、障害者プランにおけるサービスに対するニーズ充足率(サービス利用度とサービス利用意向度の比率で算出)、行政職員の障害者プラン理解力や、障害者施設長および施設職員の障害者プラン理解力などが適切であることが明確となった。
 具体的な項目を述べると、障害者プランで重要とされている地域生活支援センターの充足率は、数値が高い可能性があるので、評価指標として有効であるとは考えにくい。むしろ、サービスに対する認知度が障害者やその家族の間で高いが、ニーズ充足率が低い傾向にあるホームヘルプサービスや授産施設などのニーズ充足率を、行政サービスの質の評価指標として用いることが望まれる。行政職員のプラン理解力項目としては、「生活支援」「雇用促進」「相談支援」「自立促進」などがあげられ、いずれも行政サービスの質の評価指標として有効であると考えられる。また、施設長および施設職員のプラン理解力項目としては、「地域移行」「ケアマネジメント」「第三者評価」「苦情マニュアル」「個人情報の管理」「自立促進」「生活支援」などがあげられ、それらの項目が行政サービスの質の評価指標として有効であると考えられる。
結論
 障害者プランに基づく行政サービスは、3つの観点(行政が計画した障害者サービスに対する利用者からのニーズ充足率、行政職員の障害者プランに関する重要概念の理解率、行政が計画した障害者サービスを提供する障害者施設長および施設職員の障害者プランに関する理解率)から評価することが望ましく、そのような評価指標を用いることで、間接的ではあるが、行政サービスの質に関する評価を行うことができると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)