文献情報
文献番号
200400544A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の正しい理解に基づく、ライフサイクルに応じた生活支援と退院促進に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
上田 茂(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
- 竹島 正(国立精神・神経センター精神保健研究所)
- 大嶋 正浩(医療法人社団メンタルクリニック・ダダ)
- 新居 昭紀(社会福祉法人聖隷三方原病院)
- 菅原 道哉(東邦大学医学部精神神経科学教室)
- 山内 慶太(慶應義塾大学看護医療学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
精神保健医療福祉の改革ビジョンに示された、国民意識の変革と精神保健医療福祉体系の再編に関する達成目標の実現に不可欠な、精神障害者のライフステージに応じた、精神科医療と地域生活支援の提供、サービスを体系的に提供する地域ネットワーク、住居と施設のあり方、健康増進、地域への普及啓発のあり方を明らかにすることを目的とした。
研究方法
精神障害者のライフステージに応じた、地域生活支援、精神科医療のあり方、危機管理、住居と施設のあり方、健康増進及び普及啓発のあり方について、アンケート調査などを行うとともに、実際の事例を通して検討した。
結果と考察
地域生活支援、医療では年齢の上昇に伴い、グループホームの利用率は上がり、世代交代で、同胞が家庭を継ぎ、精神障害者の居場所がなくなる可能性が推測された。地域生活での危機管理では、家族内のキーパーソン(K.P)のあり方と治療側とのコミュニケーションが重要であり、家族の崩壊とK.Pの脆弱度、医療機関との関係に応じて、訪問型支援が重要なことが示唆された。健康増進では、体重の問題が40代で顕著であった。また喫煙習慣は40代で6割であり、精神障害者の喫煙率が高いことが明らかとなった。住居と施設のあり方では、「現在の状態でも居住先・支援が整えば退院可能」な患者でも、年齢が上がるにつれ、総合的な機能、日常生活能力等が低い患者の割合が増大していることが明らかとなった。精神保健福祉センターなどでは、統合失調症などの当事者活動に関する情報は、よく集まる状況ができていた。
結論
精神障害者のライフステージに応じた、精神科医療と地域生活支援の提供、サービスを体系的に提供する地域ネットワーク、住居と施設のあり方、健康増進、地域への普及啓発のあり方について検討した。その結果、ライフステージが違えばそれぞれ抱えているニーズや問題は異なり、それに応じたサービスが必要であることが示唆された。また、普及啓発に関しては、精神保健福祉センターなどでは、普及啓発の企画や連絡調整の拠点として機能していると考えられた。精神障害者が、その正しい理解のもとに、ライフステージに応じた、日中活動の場、介護等生活支援、住居、医療、健康増進を、個々の支援の必要性と本人の意向に応じて選択し、利用できるシステム及びマネジメントのあり方について、地域システムとしてさらに研究する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2005-05-13
更新日
-