高次脳機能障害者の障害状況と支援方法についての長期的追跡調査に関する研究

文献情報

文献番号
200400542A
報告書区分
総括
研究課題名
高次脳機能障害者の障害状況と支援方法についての長期的追跡調査に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
三輪 隆子(国立身体障害者リハビリテーションセンター病院)
研究分担者(所属機関)
  • 中島八十一(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 寺島 彰(浦和大学総合福祉学部)
  • 深津玲子(独立行政法人国立病院機構 宮城病院)
  • 藤井俊勝(東北大学大学院医学系研究科障害科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
11,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、高次脳機能障害者の個人特性や環境要因の相違により、選択すべき施設や支援サービスがどのように異なるかを検討し、高次脳機能障害者の長期的支援方法の確立を図る。さらに、高次脳機能障害を有する患者・障害者で形態学的画像診断法で陰性例の解消のために、fMRIとPETを用いた検査法を開発する。最後に全国で統一した高次脳機能障害の評価のため、簡易神経心理学的検査法を開発することを目的とする。
研究方法
医学的リハビリテーション終了時の社会復帰や社会福祉サービス利用状況と、医学的特性との相関を 後向き調査検討した。高次脳機能障害支援モデル事業登録者の追跡調査により、支援帰結と原因疾患、知能評価ならびに障害尺度による重症度評価との関連を検討し、支援内容別および障害尺度別に具体的な支援内容を検討した。ニーズ判定票の内容的妥当性を調査検討した。健常者や高次脳機能障害者を対象に、fMRIやPETを用いた研究を行った。簡易神経心理学的検査法を開発し、高次脳機能障害者の評価に試用し有用性を検討した。
結果と考察
医学的リハビリテーション終了時に医療サービスから社会福祉サービスに移行できない患者が相当数いることが明らかにされた。原因疾患、知能評価ならびに障害尺度による重症度評価により、在宅生活や施設生活を余儀なくされる者、就労・就学にまでもっていける者をある程度まで予測することに役立つことが示唆された。モデル事業の支援プログラムを受けた対象者の具体的な支援内容を明らかにし、ニーズ判定票を改訂する際に有用な資料を得る事ができた。fMRIを用いた遂行機能障害の検討では、BA10野の活動が失われれば遂行機能障害があると個別診断可能である事が明らかとなった。fMRIとPETを用いて記憶障害・注意障害・遂行機能障害をより的確に診断するためには、負荷課題と統制課題の適切な組み合わせが重要であることが明らかとなった。簡易神経心理学的検査法は、短時間で誰にも実施できる高次脳機能障害検査法として有用であった。
結論
現状で医療サービスから社会福祉サービスに移行できない高次脳機能障害患者が多く存在し、この解消には、支援システムの確立とともに、医学的リハビリテーションの時期からの適切な家族支援が必要である。高次脳機能障害者の支援にあたり、医学的リハビリテーションの時期の重症度評価は必要な支援を予測するのに有用である。fMRIやPETよる高次脳機能障害の検査は、課題が適切に設定されれば、形態的画像陰性例の解消に役立つことが明らかとなった。簡易神経心理学的検査法は、短時間で誰にも実施できる高次脳機能障害検査法として有用である。

公開日・更新日

公開日
2005-11-14
更新日
-