肢体不自由者用移動機器・足漕ぎ車椅子の研究開発

文献情報

文献番号
200400531A
報告書区分
総括
研究課題名
肢体不自由者用移動機器・足漕ぎ車椅子の研究開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
半田 康延(東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動機能再建学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 隆行(福島大学共生システム理工学類メカトロニクス分野)
  • 関 和則(東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動機能再建学分野)
  • 藤居 徹(東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動機能再建学分野)
  • 吉澤 誠(東北大学情報シナジーセンター先端情報技術研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,760,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現行の車椅子は,下肢を運動させる頻度が極端に少なくなり,むしろ下肢・体幹の廃用性変化(廃用症候群)を助長させる.そこで我々は,脚で駆動できる足漕ぎ型の車椅子を開発した.本年度は,より少ない力で駆動できる方式の開発,脚発生力を関節トルクレベルで精密計測できる装置の開発,足漕ぎ型車椅子の訓練的使用とその効果に関する検討を行うことが目的である.
研究方法
(1)少ない力で駆動を実現するには,まず,脚発生力の利用効率を高めることが必須である.これは,自転車型の円軌道サイクリング方式の欠点として既に認識していた部分である.そこで,コンピュータシミュレーション及び試作機による実験を通して,効率的なメカニズムの可能性を探った.
(2)脚関節トルクを精密に計測する目的で,体側に装着して使用できる計測装置を試作により開発した.
(3)歩行不能な重度片麻痺患者を対象として,麻痺の回復と実用移動を目的とした従来型の足漕ぎ車椅子の訓練的使用を実施した.
結果と考察
(1)より少ない駆動力で走行する方式として,非回転型の軌道が優れていることが明らかになった.現在,本方式は特許出願準備中である.
(2)関節トルクを計測する装置の試作品が完成した.脚にセンサを固定する冶具の特性の問題から計測精度に影響が出る場合もあったが,注意深く用いることで当初の目的が達成できることを確認した.
(3)歩行不能な重度片麻痺患者を対象として,麻痺の回復と実用移動を目的とした従来型の足漕ぎ車椅子の訓練的使用を実施した.対象者では全例訓練室あるいは病棟での実用的な使用が可能であり,特に急性期の片麻痺患者では,本格的な運動療法への導入的な役割を果たし得ることが確認された.一方で移乗や曲線走行,漕ぎ始めの駆動力発生などが困難であることも確認された.
結論
本年度の成果として得られた新しい駆動方式は,これまでの自転車型あるいはスイングペダル型にあった多くの欠点を克服する方法である.また,脚発生力計測装置に関しては,装置固定部分に若干の問題点を残している.この改良を引き続き行うとともに,これを用いて,より精密なコンピュータシミュレーションモデルの構築を行う.また,足漕ぎ式車椅子が,臨床的に効果のあることが明らかになった.今後,駆動時の心肺機能に対する負荷の程度を計測し,安全性と心身活動性向上に対する効果を検討する.

公開日・更新日

公開日
2005-08-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)