再生医療による脊髄の歩行パターン発生能力と脊髄損傷者の歩行再獲得可能性に関する研究

文献情報

文献番号
200400529A
報告書区分
総括
研究課題名
再生医療による脊髄の歩行パターン発生能力と脊髄損傷者の歩行再獲得可能性に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
赤居 正美(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 中澤 公孝(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 野崎 大地(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 山本 真一(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 山本 直哉(国立身体障害者リハビリテーションセンター病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
13,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は脊髄損傷者の歩行再獲得を最終目的としているが、その実現に向け、人間の脊髄に基本的な歩行パターンを生み出す能力および学習能力がどの程度あるのかを探求し、近年進歩がめざましい再生医学による脊髄の軸索延長と組み合わせて、脊髄損傷患者のための新たなリハビリテーションの方法を開発することを目標としている。
近年の再生医学の進歩は、従来再生能力はないとされた脊髄組織においても、実際には軸索の伸長能があり、周囲組織の阻害によって再生が阻まれている事実を明らかにしつつある。加えて、近年の神経生理学を中心とした進歩は、損傷後脊髄に従来考えられていた以上の回復能力・可塑性があることを示している。
不全損傷患者での臨床経験からは、歩行様トレーニングによる繰り返し刺激入力が残存する脊髄歩行中枢の再構成に結びつく可能性を示しているので、ごくわずかであっても中枢からの情報伝達を再建出来れば、言い換えると完全損傷を不全損傷に変える事が出来れば、臨床への発展性はあると考える。
研究方法
平成16年度は次の二つの側面から研究をおこなう。
・脊髄損傷者を対象とし、歩行トレーニングに伴い脊髄神経回路と大脳運動野からの下行性司令がいかに変容するのかを解明するための実験環境の整備と予備実験を開始する。
・脊髄神経再生能力に関する細胞・動物を用いた基礎実験を行うための遺伝子操作を含む実験環境を整える。
結果と考察
本年度成果として、完全対麻痺、不全対麻痺、および健常者を比較することで、上位中枢からの下行性入力の喪失が脊髄神経機能に及ぼす影響を電気生理学的に測定し、下腿おける伸張反射とH-反射にみられる3者間の違いを定量的に計測した。また、脊髄損傷者での実験プロトコルを作成し、倫理審査委員会の審査を受けた。しかし、ロボット型トレーニング機購入のための事務手続きが遅れ、未だ体性感覚入力を用いた介入実験を開始することは出来ていない。また脊髄・神経再生能に関する細胞・動物を用いた基礎的実験を行う実験環境の整備が概ね整った。 平成15年末より、当センターの重点テーマとして脊髄再生が取り上げられるに至り、研究室の改装、整備が年度末にかけて行われた。細胞工学的手法による脊髄での軸索再生研究と、従来からの神経生理学的手法による脊髄神経回路の研究の協力体制が作られた。
結論
研究室の改装、整備が行われ、再生医療と脊髄の可塑性研究を結びつける新たな体制が整った。

公開日・更新日

公開日
2005-04-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)