心筋微小血管造影装置の開発による糖尿病性心筋微小循環障害の可視化

文献情報

文献番号
200401377A
報告書区分
総括
研究課題名
心筋微小血管造影装置の開発による糖尿病性心筋微小循環障害の可視化
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
西上 和宏(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【若手医師・協力者活用に要する研究】(健)
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,352,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難知性の重症末梢動脈閉塞症に対する血管再生治療が開始され、臨床症状の著明な改善が得られている。しかしながら、血管造影等の一般検査では、有意な変化がみられず、血管再生治療の適切な評価法が確立していない。また、糖尿病性微小血管障害は、病理診断のみで、臨床現場では病態の把握や治療効果についての手段が未だ存在せず、十分な対応がなされていないのが現状である。本研究では、病院設置型微小血管造影装置を開発、臨床応用し、微小血管障害の病態および治療効果の評価に対する有効性と安全性を検討した。
研究方法
新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の支援のもと、浜松ホトニクス(株)を中心に、NHKエンジニアリングサービス、国立循環器病センター研究所、東海大学医学部等が協力して、病院設置型の微小血管造影装置を開発した。装置は、高出力のCT用X線源とハイビジョンの高感度撮像系により構成されている。チャートを用いて、解像度を測定し、犬冠動脈のファントムで中核枝の評価およびウサギの虚血肢モデルでの再生血管の評価を行った。また、吸収線量および散乱線の測定を行い、安全性の検討をした。臨床応用では、末梢動脈閉塞症の血管再生治療前後に、微小血管造影法を施行し、虚血肢下腿の微小血管を評価した。倫理委員会の審議・承認を得、本検査の合併症・効能・不利益・利益を説明し、本人及び家族の同意の元に施行した。
結果と考察
解像度の検討では、一般の血管造影では250μmが限界であったが、病院設置型微小血管造影装置では50μmまで観察できた。犬冠動脈のファントムを用いた従来型血管造影では第3分岐までしか描出できなかったが、病院設置型微小血管造影装置では第4分岐以下まで明瞭に描出できた。血管再生治療を施行したウサギ虚血肢モデルでは、100μm以下の蛇行した再生血管が描出でき、アデノシンの反応性も評価できた。吸収線量は、1mの位置で20秒照射が600mSvであり、散乱線も被写体から1mの位置で0.2mSvであった。臨床応用では、1例の重症末梢動脈閉塞症に施行し、血管再生治療後に再生血管が描出された。病院設置型微小循環造影装置は、末梢動脈閉塞症の血管再生治療の評価に有用であるが、心筋微小循環の可視化に向けて、さらなる開発が期待される。
結論
本研究で開発された病院設置型微小循環造影装置は、50μmの微小血管が観察でき、安全性にも問題なかった。末梢動脈閉塞症の血管再生治療の評価に有用であるが、心筋微小循環の可視化に向けて、さらなる開発が期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-04-20
更新日
-