糖尿病性腎症の寛解を目指したチーム医療による集約的治療

文献情報

文献番号
200401376A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病性腎症の寛解を目指したチーム医療による集約的治療
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山田 研一(国立病院機構千葉東病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【若手医師・協力者活用に要する研究】(健)
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,423,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 日本人2型糖尿病性顕性腎症に対する、蛋白制限食の有効性について、多施設共同研究によるランダマイズコントロール(RCT)された、5年間の検証研究がなされた。
 本研究は、本邦で比較的積極的に糖尿病性腎症を診療している施設の医師と栄養士の協力により構成されている。当研究において、そのような施設で実際に蛋白制限食を食事療法として行った場合、蛋白以外の各栄養素摂取量にどのような変化が出現するのか、また、蛋白制限食群と通常蛋白食群との間に、蛋白以外の各栄養素摂取量に違いが認められるのか、また栄養所要量(現:食事摂取基準)を満たしているのか、更にその栄養素と臨床検査成績とにどのような関連があるのかを検討した。
研究方法
 前観察期(蛋白摂取1.2g/kg/day以上)の3ヶ月後、蛋白制限食(A)群(蛋白指示量;0.8g/kg/day)と通常蛋白食(B)群(蛋白指示量;1.2g/kg/day)の2群にRCTされ、観察期として5年間followされた。本研究では、観察期24ヶ月までの症例を対象とした。調査ポイントは、前観察期として-2、-1、0ヶ月及び観察期として3、6、12、24ヶ月目とした。平均を算出し解析した。A群:47例、B群:46例であった。
結果と考察
 栄養調査上、前観察期ではA群とB群の間で蛋白摂取量に有意差を認めず、観察期では、A群(蛋白摂取量;0.92g/kg)はB群(蛋白摂取量;1.11g/kg)に比較し、有意に低値であり、食事調査上からは指導が的確に行われたと考えられる。しかし、観察期で蛋白以外の栄養素摂取(カルシウム、ビタミンB1)の、また酸化ストレス関連栄養素(ビタミンE, B6、カロテン、葉酸)の摂取量が、A群でB群のそれらに比較し、有意に低値であり、かつA群では食事摂取基準(正常人)に満たない栄養素(カルシウム、ビタミンE, B1, B6、カロテン)が多かった。
結論
 これらは糖尿病性顕性腎症の栄養指導法に大きな問題を残し、検討すべき課題となった。また今年度より開始される本研究(糖尿病性腎症の寛解を目指したチーム医療による集約的治療)のプロトコール作成に活かすことが出来た。

公開日・更新日

公開日
2005-03-28
更新日
-