各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討

文献情報

文献番号
200401374A
報告書区分
総括
研究課題名
各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 裕司(浜松医科大学臨床薬理学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【若手医師・協力者活用に要する研究】(健)
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,488,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病は血管病を合併しやすく、その予防には高脂血症薬治療が有用である。本研究の目的は、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)が臨床上どのようなリスク因子を有する患者に投与されているかを解析し、さらに血管病進展を予測するsurrogate markerとなる血管機能評価法を確立する事である。
研究方法
1) 浜松医科大学附属病院において2002年6月から2003年5月の間にpravastatinを投与された全患者(581例)中、調査可能であった569例を対象とし、身長、体重、年齢、喫煙歴および心血管疾患の既往、糖尿病および高血圧の有無、pravastatin投与前後の血清脂質値と他の臨床検査値の変化について解析した。
2) 近赤外時間分解計測(NIR-TRS)システムを用いた非侵襲的血管機能評価法を浜松ホトニクス(株)と共同して開発し、反応性充血時の血流量変化を近赤外分光法(TRS法)と従来法のストレインゲージプレチスモ法(EC-5R, Hokanson)にて同時計測し、TRS法による血管機能評価の有用性、信頼性について評価した。
結果と考察
1) 対象例中、男性は213例(37%)、女性は356例(63%)であり、平均年齢は63.9歳であった。虚血性心疾患の既往を有しない患者は全体の77%であり、糖尿病、高血圧および喫煙のいずれのリスクファクターも有していない女性患者の割合は全体の17%であった。総コレステロール値(TC)およびLDLコレステロール値は、pravastatin投与開始後、それぞれ17.6 %および25.5%有意に低値を示した。糖尿病を有する患者でpravastatin服用後においてHbA1Cが有意に低下し、また腎機能検査値(s-Cre, BUN)の有意な上昇を認めた。
2) TRS法は体動時による影響が少なく、検者間の測定誤差もストレインゲージプレチスモ法に比し有意に低値であった。さらに日々変動および個体内変動もTRS法で有意に低値であった。
結論
 糖尿病患者群における耐糖能や腎機能の変化とスタチン投与の関係について、今後、さらに検討する必要があると考えられた。また、近赤外光による組織酸素モニター法を応用した非侵襲的血管内皮機能評価法は信頼性の高い血管機能評価法として高齢者における心血管病の早期発見や治療薬の有効性評価に有用と思われた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
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