超急性期脳梗塞治療法の確立に関する多施設共同ランダム化比較試験

文献情報

文献番号
200401396A
報告書区分
総括
研究課題名
超急性期脳梗塞治療法の確立に関する多施設共同ランダム化比較試験
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小川 彰(岩手医科大学(脳神経外科学講座))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【若手医師・協力者活用に要する研究】医)
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳梗塞は高齢者のQOLを低下させる疾患として極めて重要である。局所血栓溶解線溶療法は脳梗塞の完成を阻止する治療として注目されている。本研究では本治療の効果を科学的に証明することを目的にした。
研究方法
各研究チームは、適宜相互に連絡は取り合うが、バイアスの介入を極力提言させるために、「計画・評価」(a組)、「管理」(b組)、「実施」(c組)に分けて研究を行った。
a組は研究全体の総括を行いつつ、患者の評価も行った。実際の診療治療はc組が行った。データ管理はb組が行った。
54の研究協力施設を選定し多施設共同ランダム化比較試験(RCT)を組織した。対象は発症6時間以内の中大脳動脈閉塞症例とした。ランダム化にはインターネットを用いた。線溶療法群はウロキナーゼの動注療法を施行し、対照群は線溶療法以外のあらゆる治療を行った。3ヶ月後の予後をmodified Rankin scale(mRS)で評価した。
結果と考察
急性期ランダム化・診断法の標準化などをまず確立した。最も適切と考えられる適応、急性期に行う適応決定の為の検査法,血管内治療手技を標準化することができた。
最終的に280症例が仮登録され、そのうち102例が本登録された。現在の且?亡率に有意差を認めていないB家庭内自立率は対照群で40.0%、療法群で46.7%であり、療法群に多い傾向を示した。さらに社会復帰率に関しては,対照群で20.0%、療法群で37.8%と、より療法群が良好である傾向が示された。
研究を「計画・評価」(a組)、「管理」(b組)、「実施」(c組)に分けて研究を行ったことにより、個人情報保護がより確実となった。さらに各種バイアスが低減し、研究の質自体が向上した。具体的にはa組は研究全体の総括を行いつつ、患者の評価も行った。患者評価に当たっては、個々の症例が療法群・内科群のどちらに割り付けられたかは、評価者にはわからないシステムとした。すなわち、実際の診療治療はc組が行っているため、必要最低限の患者情報のみがa組には提供されることとなった。また、データ管理は別個にb組が行うため、患者個人情報流出の可能性も最低限に抑えられた。
結論
本研究において脳梗塞診断手法の標準化、急性期ランダム化システムを確率できた。さらに脳梗塞急性期に局所線溶療法を行うことにより、社会復帰率を改善できる可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-27
更新日
-