文献情報
文献番号
200400527A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病における血管合併症の発症予防と進展抑制に関する研究(JDC Study)
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山田 信博(筑波大学大学院人間総合科学研究科内分泌代謝糖尿病内科)
研究分担者(所属機関)
- 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科)
- 曽根 博仁(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
- 井藤 英喜(多摩北部医療センター)
- 高橋 和男(千葉大学大学院医学研究院)
- 片山 茂裕(埼玉医科大学内分泌・糖尿病内科)
- 山下 英俊(山形大学医学部)
- 清野 弘明(太田西ノ内病院)
- 石橋 俊(自治医科大学医学部)
- 山崎 義光(大阪大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
38,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本の2型糖尿病患者の病態の特徴や専門施設における診療の現況を明らかにし、糖尿病および血管合併症を抑制するためのエビデンスを確立し、患者の生命予後とQOLの改善に貢献することを目的とする。
研究方法
全国約2200人の日本人2型糖尿病患者を対象に、患者指導を主な介入手段として介入群のコントロール指標改善や合併症抑制が可能か解析している。同時に日本の糖尿病患者や糖尿病診療の特徴を抽出して将来の診療に役立てることも目指している。全国59施設の参加を得て、平成8年4月より積極的に糖尿病治療の介入を行う群と通常治療群とに分けて本試験が開始され9年間が経過した。各合併症の診断基準は予めプロトコールで定められており、たとえば網膜症についてはその発症および単純性網膜症の進展とし、それぞれ専門家の判定委員により判定されている。各種データはコンピューターに入力し、統計専門家による解析や効果判定を実施している。
結果と考察
全登録者の平均血糖コントロールはHbA1C7.6%で、介入群と非介入群との有意差は、最近数年間は消失したままで生活習慣介入の難しさを示す結果となっている。しかしその背景には、本研究参加施設(すべてが糖尿病診療の専門施設)の通常診療レベルがもともと高かったこともあるとみられる。本研究では、欧米とは異なる日本人糖尿病患者の興味深い特徴が数多く捉えられている。たとえば最近の欧米の研究では、適度のアルコール摂取が糖尿病患者の冠動脈疾患抑制効果を有することが示されているが、JDCS登録患者ではそのような現象は認められなかった。またJDCS登録患者と米国の糖尿病患者では、血圧や脂質の平均値が近いにも関わらず、降圧薬・高脂血症薬の使用頻度が極端に違うことも判明した。細小血管合併症に関する解析結果では、網膜症とメタボリック症候群との関連が示唆された。大血管合併症について糖尿病患者では、冠動脈疾患の発症率が脳血管障害の発症率を上回っていた。また介入群に対する強化治療の効果については、以前からひき続いて、脳血管障害の発症が有意に少ないことが明らかになった。
結論
JDCSは今後さらに詳細な解析が行われることにより、日本人(東アジア人)糖尿病のエビデンスを確立することを通じて、わが国の将来の糖尿病診療に大きく貢献することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2005-04-07
更新日
-