文献情報
文献番号
200400523A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病性腎症の寛解を目指したチーム医療による集約的治療
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
槇野 博史(岡山大学大学院医歯学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
研究分担者(所属機関)
- 羽田勝計(旭川医科大学 )
- 古家大祐(滋賀医科大学 )
- 富野康日己(順天堂大学医学部)
- 鈴木芳樹(新潟大学保健管理センター)
- 山田研一(国立病院機構千葉東病院臨床研究センター )
- 川上憲人(岡山大学大学院医歯学総合研究科)
- 四方賢一(岡山大学医学部歯学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
37,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年の糖尿病患者の増加に伴って、糖尿病性腎症も増加を続け、1998年以降は慢性血液透析導入の原因疾患の第1位となっている。糖尿病性腎症の発症・進展を予防することは、国民衛生と医療経済における危急の課題である。
1)「糖尿病性腎症の寛解を目指したチーム医療による集約的治療」:本研究は、糖尿病性腎症患者に医師とコメディカルスタッフがチーム医療で強力な治療介入を行うことにより、腎症の進行を抑制できるか否かを明らかにすることを目的とする。
2)糖尿病性腎症に対する蛋白制限食の効果に関する多施設共同介入研究:糖尿病性腎症に対する蛋白質制限食の有効性を検証することを目的とする。
1)「糖尿病性腎症の寛解を目指したチーム医療による集約的治療」:本研究は、糖尿病性腎症患者に医師とコメディカルスタッフがチーム医療で強力な治療介入を行うことにより、腎症の進行を抑制できるか否かを明らかにすることを目的とする。
2)糖尿病性腎症に対する蛋白制限食の効果に関する多施設共同介入研究:糖尿病性腎症に対する蛋白質制限食の有効性を検証することを目的とする。
研究方法
1)全国の多施設において、顕性腎症例(尿中アルブミン排泄量>300mg/日)600名を対象として、血清クレチニン値正常群(プロトコールA)と血清クレアチニン高値群(プロトコールB)の2群に分け、それぞれ集約的治療群と従来療法群に無作為に割り付ける。プロトコールAでは、主要評価項目を尿中蛋白排泄量とし、プロトコールBでは、血清クレアチニン値の2倍化、透析療法への導入(腎死)および死亡を1次エンドポイントとする。総観察期間は5年間を予定している。予備的研究として、腎症の予後予測因子を検討した。
2)全国37施設において、顕性腎症例を対象として、蛋白制限食(0.8 g/kg/日)の効果を、通常蛋白食(1.2 g/kg/日)群と比較検討する。1) Ccrの低下速度および1/Crの傾き、2) 血清Crの2倍化を主要評価項目として、ランダム化比較試験を行う。
2)全国37施設において、顕性腎症例を対象として、蛋白制限食(0.8 g/kg/日)の効果を、通常蛋白食(1.2 g/kg/日)群と比較検討する。1) Ccrの低下速度および1/Crの傾き、2) 血清Crの2倍化を主要評価項目として、ランダム化比較試験を行う。
結果と考察
1)研究プロトコールと参加施設の公募手順などを決定した。予備的研究の結果、血中および尿中IL-18濃度、血中AGE濃度および腎症患者の尿中に検出される97kDの新規蛋白が腎症の予後予測因子になる可能性が示唆された。
2)観察期の患者数は、2004年12月現在105症例であり、観察期間は、蛋白制限食群平均40.89ヶ月、通常蛋白食群37.71ヶ月であった。食事調査からの蛋白摂取量は、すべての観察期間で蛋白制限食群と通常蛋白食群間で差がみられた。Ccrおよび1/血清Crの傾き、血清Crの倍化日数には、両群間に差はなかったが、尿蛋白及びアルブミン排泄量には、観察期30ヶ月以降に差がみられる傾向にあった。
2)観察期の患者数は、2004年12月現在105症例であり、観察期間は、蛋白制限食群平均40.89ヶ月、通常蛋白食群37.71ヶ月であった。食事調査からの蛋白摂取量は、すべての観察期間で蛋白制限食群と通常蛋白食群間で差がみられた。Ccrおよび1/血清Crの傾き、血清Crの倍化日数には、両群間に差はなかったが、尿蛋白及びアルブミン排泄量には、観察期30ヶ月以降に差がみられる傾向にあった。
結論
本研究によって、腎症の進展を防止するための集約的治療法と、そのための臨床マーカーを確立することにより、糖尿病患者の予後の改善と医療費削減に大きな効果が期待できる。
公開日・更新日
公開日
2005-06-13
更新日
-