文献情報
文献番号
200400520A
報告書区分
総括
研究課題名
冠動脈不安定粥腫の同定とその効果的破綻予防、治療法の開発に関する多施設共同研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山岸 正和(国立循環器病センター内科心臓血管部門)
研究分担者(所属機関)
- 水野 杏一(日本医科大学附属千葉北総病院 循環器内科)
- 椎名 毅(筑波大学大学院システム情報工学研究科)
- 細川 博昭(独立行政法人国立病院機構豊橋医療センター循環器内科)
- 山田 直昭(国立循環器病センター放射線診療部)
- 小宮山 伸之(埼玉医科大学循環器内科)
- 浦澤 一史(北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学)
- 廣 高史(山口大学医学部附属病院第二内科学)
- 高山 忠輝(日本大学医学部内科学講座循環器内科部門)
- 森井 功(国立循環器病センター内科心臓血管部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
不安定狭心症、心筋梗塞などの急性冠症候群は一旦発症すると、急性期には今尚高い致死率を呈し、慢性期での心機能障害や狭心症の残存することが多い。従って、本症候群の発症を未然に予知し、効果的な予防、治療措置を講ずることが、急務とされている。
血管内超音波法を用いれば、冠動脈硬化粥腫が直視可能であり、超音波画像解析法の開発と相俟って粥腫性状の評価法として注目されてきた。そこで、本研究では既に一定の実績を有する複数の施設において、血管内超音波法を用いて不安定粥腫候補部位を同定登録し、経過を追跡することにより、各同定基準の精度を検証するものである。
血管内超音波法を用いれば、冠動脈硬化粥腫が直視可能であり、超音波画像解析法の開発と相俟って粥腫性状の評価法として注目されてきた。そこで、本研究では既に一定の実績を有する複数の施設において、血管内超音波法を用いて不安定粥腫候補部位を同定登録し、経過を追跡することにより、各同定基準の精度を検証するものである。
研究方法
各施設における冠動脈形成術施行に際して、冠動脈硬化病変部位を血管内超音波法で観察する。この際、所定の基準に合致する冠動脈局所を暫定的な不安定粥腫として同定登録する。かかる諸病変を蓄積し、“前向き”追跡を開始する。また、各個的研究として、従来から進めつつある高周波波信号による粥腫組織性状解析法、ビデオ信号による濃度解析からの組織診断、超音波角度依存性による粥腫被膜厚計測、超音波弾性画像法による粥腫弾性の解析をより効率的に運用する研究を併せて推進した。
結果と考察
本年度は330例の登録を完了し観察を開始した。各個研究においては、(1)トロポニン陽性群が有意に冠動脈血栓を有している頻度が高いことを見出した(水野)。(2)動脈硬化組織解析において、グレースケール2D画像の組織型分類とどの程度相関するか検討し(浦澤)、Wavelet解析を用いた方法により、プラークの組織性状同定や、不安定化のメカニズム、プラークの易破綻箇所の予測に関する基礎研究を行った(廣)。冠動脈プラークの容積と高周波信号解析による組織性状情報のデータベースの作成を開始した(小宮山)。また、組織弾性画像への実用化に着手した(椎名、山岸)。(3)治療との関連において、非有意狭窄粥腫の経時的変化を血管内エコーにより観察し、血中脂質値や糖尿病重症との関連を明らかにしつつある(高山、森井)。(4)頚動脈において内膜剥離術により摘出した標本との対比を行った。その結果、粥腫内での出血と不安定性との関連が示唆された(山田)。
結論
各施設において血管内超音波法により観察され、所定の基準に合致する冠動脈局所を暫定的な不安定粥腫として所定症例の登録を完了し、“前向き”追跡を開始した。各個研究においては、(1)血管内超音波法での診断精度の向上のための研究。(2)治療効果の判定。(3)非侵襲的評価法の開発などの分野で所定の成果を挙げた。
公開日・更新日
公開日
2005-05-27
更新日
-