メタボリックシンドロームにおけるアディポサイトカイン異常を標的とした心血管合併症治療・予防法の確立

文献情報

文献番号
200400517A
報告書区分
総括
研究課題名
メタボリックシンドロームにおけるアディポサイトカイン異常を標的とした心血管合併症治療・予防法の確立
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
下村 伊一郎(大阪大学大学院 生命機能研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 浩二(国立病院機構京都医療センター 展開医療研究部)
  • 沢村 達也(国立循環器病センター研究所 脈管生理部)
  • 船橋 徹(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 佐藤 哲子(国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内臓脂肪蓄積による耐糖能異常、高脂血症、高血圧を合併するメタボリックシンドローム(MS)が動脈硬化疾患の基盤である。我々は、脂肪組織、筋肉からアディポネクチン、ビスファチン、マスクリンといった新規内分泌因子や、LDL受容体LOX-1を発見した。メタボリックシンドロームに関わるこれらサイトカインネットワーク異常の心血管病における治療的・予防的意義を明らかにする。
研究方法
ヒト臨床研究(血中濃度測定系の開発とMSや動脈硬化性疾患患者での測定による疾患マーカーとしての意義の解明)および動物モデルを用いた治療的意義の解明
結果と考察
アディポネクチン(船橋) アディポネクチン遺伝子変異が、冠動脈疾患と連関(JACC 2004)、低アディポネクチン血症が高血圧の独立した危険因子(Hypertension 2004)、血中アディポネクチン濃度がMSのマーカー (Circ.J 2004)、アディポネクチンがガン細胞の増殖を抑える(PNAS 2004)、圧負荷による心筋肥大化を抑制する(Nat.Med.)、動脈硬化のプラークの安定化に関わることを報告した(Circulation 2004)。
マスクリン(下村) 新規骨格筋由来分泌因子マスクリンは栄養状態で著明な調節を受け、肥満糖尿病マウスで発現が誘導された (JBC 2004)。
ビスファチン(下村) 内臓脂肪蓄積時に血中濃度が高値を示し、脂肪細胞において脂肪蓄積作用を有する。
心筋への高レプチン血症とスタチンの効果 (長谷川)
レプチンは、心筋細胞長径の増大を引き起こした。また、スタチンが糖尿病における心拡張能の改善効果を認めた。
動脈硬化発症とLDL受容体LOX-1に関する研究(沢村)
高グルコース濃度が酸化ストレスを亢進する事により、LOX-1の発現を誘導した(Circ Res,2004)。
アディポサイトカイン血中濃度測定と治療効果の検討に関する研究(佐藤)
肥満合併糖尿病症例の動脈硬化進展に、レプチン/アディポネクチン比が疾患マーカーとして有用(Diabetes Care 2004)。
結論
内臓脂肪蓄積およびそれによるアディポサイトカインの分泌異常をMSの疾患マーカーとして早期にとらえ、また治療標的として臨床応用することが、血管病を最終ターゲットとしたMSの包括的な予防および治療に繋がる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-