未破裂脳動脈瘤の要因、治療法選択におけるリスク・コミュニケーションに関する研究

文献情報

文献番号
200401391A
報告書区分
総括
研究課題名
未破裂脳動脈瘤の要因、治療法選択におけるリスク・コミュニケーションに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 信夫(京都大学大学院医学研究科脳統御医科学系専攻脳病態生理学講座脳神経外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 小泉 昭夫(京都大学医学研究科・産業衛生学、遺伝疫学)
  • 白川 太郎(京都大学医学研究科・健康増進・行動学)
  • 福原 俊一(京都大学医学研究科・医療疫学)
  • 宝金 清博(札幌医科大学・脳神経外科)
  • 森田 明夫(東京大学医学系研究科臨床神経精神医学、脳神経外科学)
  • 池田 俊也(慶應義塾大学医学部医療政策管理学)
  • 中山 健夫(京都大学医学研究科健康情報学、健康情報学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【心筋梗塞・脳卒中臨床研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
48,482,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳動脈瘤とクモ膜下出血による社会の疾病負担を軽減するために、リスク情報の整備とそれに基づいた臨床医と患者間のコミュニケーションの視点からの新たな知見を得、新しい患者支援プログラムの開発を目指す。
研究方法
未破裂脳動脈瘤患者の治療方針における決断分析、費用対効用分析の有用性を過去のデータから検討する。脳動脈瘤の発生要因を症例対照研究とコホート研究により宿主要因と環境要因の面から同定する。未破裂脳動脈瘤患者に対して質問票とインタビューを併用して患者側の心理的負担、必要としている情報を調査する。患者意志決定支援ツールを作成し、意志決定に与える影響を評価する。脳動脈瘤治療に関連する医療費、入院期間などの臨床諸状況の効用値を求め、費用効用分析に供する基礎資料を整備する。現在進行中の未破裂脳動脈瘤大規模前向きコホート研究UCAS Japanを継続発展させ、日本人における未破裂脳動脈瘤の自然歴、患者のQOL解析を行う。医師側の治療法決定の現状と妥当性についてWeb上での症例呈示により解析する。
結果と考察
国際共同研究などの報告に基づき未破裂脳動脈瘤における決断分析、費用対効用分析の有用性の評価を行い、以下のように各リスク情報の解析と意志決定支援に必要な因子の探索を行った。家族性脳動脈瘤30家系190名について連鎖解析を行い、脳動脈瘤関連遺伝子候補領域として3領域を同定し、これらに含まれる脳動脈瘤関連遺伝子についてhaplotypeの同定を行った。UCAS Japan(現段階で6646症例)において、研究の質的整合性の改善、予後調査の徹底をおこない、詳細な未破裂脳動脈瘤の自然歴・治療リスクの把握解析を行った。2004年4月にて初期登録を終了し、以後3年間の経過観察を継続中である。意思決定支援ツール開発に関して、現時点での情報に基づき医療側の視点からの未破裂脳動脈瘤治療方針決定支援ビデオツールの作成を行った。至適治療法選択におけるばらつき検討のためにウエブサイトを立ち上げ、医師による治療法決定のvariationの検討を計画した。患者側のニーズアセスメントを行うため、患者/家族が治療方針を決定する際に求める情報、患者個人の効用値を明らかにする患者インタビュー調査(患者23名、家族15名)を実施した。
結論
本研究により、頻度の高い未破裂脳動脈瘤が患者の健康、QOLや医療経済におよぼす影響が科学的に検証されうる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-