急性心不全とその関連疾患に対する効果的かつ効率的な治療等の確立に関する臨床研究ー院外心停止者の救命率向上に対する自動体外式除細動器を用いた心肺蘇生法の普及とエビデンス確立のためのウツタイン様式を用いた大規模臨床研究ー

文献情報

文献番号
200401390A
報告書区分
総括
研究課題名
急性心不全とその関連疾患に対する効果的かつ効率的な治療等の確立に関する臨床研究ー院外心停止者の救命率向上に対する自動体外式除細動器を用いた心肺蘇生法の普及とエビデンス確立のためのウツタイン様式を用いた大規模臨床研究ー
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
野々木 宏(国立循環器病センター 心臓血管内科)
研究分担者(所属機関)
  • 向仲 真蔵(大阪府立千里救命救急センター)
  • 森田 大(大阪府立三島救命救急センター)
  • 平出 敦(京都大学 医学研究科 付属医学教育推進センター)
  • 福井 次矢(聖路加国際病院)
  • 佐藤 俊哉(京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療統計学)
  • 永井 洋士((財)先端医療振興財団 臨床研究情報センター)
  • 菊地 研(岩手医科大学 医学部)
  • 長尾 建(日本大学 医学部)
  • 公文 啓二(独立行政法人 国立病院機構 函館病院)
  • 荻野 均(国立循環器病センター 心臓血管外科)
  • 高本 眞一(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 大北 裕(神戸大学 大学院医学系研究科)
  • 松田 均(国立循環器病センター 心臓血管外科)
  • 角地 祐幸(国立循環器病センター 緊急部)
  • 佐瀬 一洋(国立循環器病センター 緊急部)
  • 田中 秀治(国士舘大学 体育学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【心筋梗塞・脳卒中臨床研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
52,177,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
循環器疾患の入院中の予後は診療の進歩により改善したが、院外での内因性急死例の8割が循環器疾患である。そこで、本研究の目的は、院外心停止例の全例登録システムおよびデータ管理システムを構築し、心肺蘇生法(CPR)と自動体外式除細動器(AED)の普及とその教育システムの開発、致死的不整脈に対する薬物治療法の確立、ITを利用した新しい救急システムの開発、大動脈疾患救急システム構築を行い、その効果を客観的に評価するとともに、根拠に基づく医療として日本人の特性に応じた、より効果的な保健医療技術の確立を目指すものである。
研究方法
初年度は、大阪府におけるウツタイン方式で登録された院外心停止全データを解析可能なシステムを構築し、今後の前向き登録システムとの統合をはかり、院外心停止に関する世界に類を見ない長期的かつ大規模臨床疫学データの解析を行う。また同時に心停止患者の生存率向上を目的としたCPRやAED使用法の普及方法の確立を行う。
結果と考察
1.ウツタイン登録システムとデータ解析システムの構築:大阪府における過去5年間のデータと前向き登録における入力システムとデータマネジメントの構築を行い、個人情報を保護しつつ効率的な管理と高品質な統計解析を実施し得る体制の確立を行った。2.後ろ向き調査:初期3年間のデータから院外心停止例の背景、発生場所とその頻度解析、救命の連鎖各時期における処置までの時間推移と救命率の解析、国際比較がなされた。3.治療抵抗性心室細動に対する薬物治療法の確立:我が国ではⅢ群薬としてニフェカラントがあるが、そのエビデンスの確立がなされていない。そこで全国調査によりその効果を検証し、今後の前向き比較試験実施への体制確立を行った。4.CPRとAED教育システムを導入し、指導者の養成と教育を医療従事者および非医療従事者に開始した。また、AED設置場所の0検証と普及活動を開始した。5.救急車と救急病院を標準的なインターネットにより、モニター、動画、12誘導心電図を伝送可能なシステム開発(モバイルテレメディシン)を行い、フィールド実証実験を行いその有用性を検討した。6.大動脈疾患による院外心停止の実態を検証するため、監察制度のある地域で解析を行い発症頻度と疾患内訳を明らかにし、救命対策への基礎データ構築を行った。
結論
世界に類をみない院外心停止に関する大規模臨床疫学データにより、今後の介入試験の効果検証における基礎データの確立を行い得た。今後の救命対策の実証により循環器疾患による死亡率を軽減し、心肺蘇生法普及活動を通じて国民の保健・医療・福祉の向上が期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-05-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
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