成人T細胞性白血病(ATL)をモデルとしたウイルス感染関連がんに対する革新的治療法の開発

文献情報

文献番号
200401360A
報告書区分
総括
研究課題名
成人T細胞性白血病(ATL)をモデルとしたウイルス感染関連がんに対する革新的治療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 雅雄(京都大学ウイルス研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,552,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)感染により発症する成人T細胞白血病(ATL)は予後不良な難治性血液悪性腫瘍である。近年、移植療法の有効性が明らかになりATLの新たな治療法として注目される。しかしATLでは発症年齢が高く通常の移植では適応が限られている。本研究ではATLに対する骨髄非破壊的移植療法(ミニ移植)の有効性とATL細胞の分子生物学的解析を行い、ミニ移植有効性の分子基盤を明らかにすることを目的としている。
研究方法
1)3’-LTRにプライマーを設置しlong PCRによりプロウイルスの増幅を行った。5’-LTRを欠失する2型欠損型プロウイルスではバンドが検出されないためenv領域にプライマーを設計した。また腫瘍細胞特異的な定量的PCRを行った2)ATL細胞におけるHTLV-Iプロウイルスの組み込み部位を同定し、組み込み部位特異的なPCRを設定することで腫瘍細胞特異的な検出を可能にした。
結果と考察
1) HTLV-Iプロウイルスの解析
2型欠損型プロウイルスではenv-3’-LTRのバンド(0.95kb)のみが検出され5’-LTR-env(6.8kb)のバンドは増幅されない。移植症例のHTLV-Iプロウイルスを解析し5・側LTRの欠失を15例中、5例に認めた。このような症例も長期生存しており移植においてTaxに対する免疫反応だけでなくアロ抗原に対する免疫応答が関与している可能性が示された。これまでの解析結果により腫瘍細胞におけるtax遺伝子の発現はミニ移植の有効性とは必ずしも一致していないことが示されており、移植後に強化されるTaxに対する免疫反応が腫瘍細胞自身ではなく非腫瘍の感染細胞を抑制し間接的に腫瘍細胞の増殖を抑制していることが示唆される。
2) 残存ATL細胞の検出
プロウイルスの組み込み部位をinverse PCRにより迅速に同定し、腫瘍細胞特異的PCR、定量的PCRを確立した。経時的に臨床サンプルがある症例を用いて腫瘍細胞特異的な定量的PCRを行った。腫瘍細胞となったクローンは発症6年前から体内に存在し、発病時に急激に増加していることが明らかとなった。従って本検出系はATL細胞を特異的、かつ定量的に検出できることが明らかとなった。
結論
ATLに対するミニ移植の有効性が報告されているが、HTLV-Iプロウイルスの解析によりミニ移植の有効性のメカニズムが明らかになりつつある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-