文献情報
文献番号
200401350A
報告書区分
総括
研究課題名
高悪性度軟骨部腫瘍に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 幸英(九州大学大学院 医学研究院整形外科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
18,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
四肢に発生する高悪性度軟部腫瘍は、円形細胞肉腫と非円形細胞肉腫に大別され、後者が大多数を占める。円形細胞肉腫に対する化学療法の有効性は証明されているが、非円形細胞肉腫に対しては世界的にも未だ標準治療が確立されていない。本研究は、四肢に発生する高悪性度軟部腫瘍の大部分を占める非円形細胞肉腫に対する標準治療を確立することを主目的とする。また、肉腫以外の疾患に対する治験も実施する。
研究方法
現時点でもっとも有効かつ実施可能と考えられるADM+IFO併用術前術後化学療法の有効性と安全性を第2相試験により評価する。対象は、四肢原発の手術可能な高悪性度非円形細胞軟部肉腫(AJCC病期分類Stage III)である。プライマリエンドポイントは奏効率、症例集積期間は2年間、予定登録症例数は75例である。肉腫以外の疾患に対する治験も実施した。また、各種肉腫細胞株の薬剤耐性、浸潤・転移の機序を検討した。
結果と考察
高悪性度軟部腫瘍のADM+IFO化学療法の第2相試験では、主要26施設による全国規模の研究組織が整い、IRB審査を経て症例登録開始した。本研究により本疾患に対する標準治療を確立することは世界的にも極めて意義深いと考えられる。また、肉腫の薬剤耐性や転移のメカニズムの解析も進め、MDR1等の多剤耐性遺伝子に対する阻害剤の併用が耐性克服に有用であること、細胞骨格制御因子であるFAKのリン酸化が肉腫細胞の浸潤能の亢進に重要であることが示唆された。また、肉腫以外の治験も推進しており、平成16年度においては、関節リウマチに対する第III相試験(MRA、症例数13例)、人工股関節臼蓋形成用カップの一般臨床試験(Z-0301、症例数35)、も実施した。本研究により、治験・臨床研究レベルの向上を目指し、世界的にも通用する質の高い臨床研究が実施可能な体制の整備を行っている。
結論
四肢に発生する高悪性度非円形細胞軟部肉腫に対し、現時点でもっとも有効性が期待され実施可能と考えられるADM+IFO併用術前術後化学療法の有効性と安全性を検討する第2相試験を開始した。本研究によって、ADM+IFO療法の有効性が認められれば第3相試験を経て、高悪性度非円形細胞軟部肉腫に対する標準的治療法の確立が期待される。本研究により、治験・臨床研究レベルの向上を目指しており、世界的にも通用する質の高い臨床研究が実施可能な体制の整備が進んでいる。
公開日・更新日
公開日
2005-04-07
更新日
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