浸潤性膀胱がんの予後改善をめざした集学的治療の研究

文献情報

文献番号
200400506A
報告書区分
総括
研究課題名
浸潤性膀胱がんの予後改善をめざした集学的治療の研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
塚本 泰司(札幌医科大学医学部泌尿器科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 敦(札幌医科大学医学部)
  • 篠原 信雄(北海道大学大学院医学研究科)
  • 羽渕 友則(秋田大学医学部)
  • 富田 善彦(山形大学医学部)
  • 小松原 秀一(新潟県立がんセンター)
  • 赤座 英之(筑波大学大学院医学分野)
  • 西澤 理(信州大学医学部)
  • 五十嵐 辰男(千葉大学フロンティア・メディカル工学研究開発センター)
  • 藤元 博行(国立がんセンター中央病院)
  • 中澤 速和(東京女子医科大学)
  • 庭川 要(静岡がんセンター)
  • 杉村 芳樹(三重大学医学部)
  • 小野 佳成(名古屋大学大学院医学研究科)
  • 小野 豊(大阪府立成人病センター)
  • 小川 修(京都大学大学院医学研究科)
  • 平尾 佳彦(奈良県立医科大学)
  • 林 正(日赤和歌山医療センター)
  • 公文 裕巳(岡山大学大学院医歯学総合研究科)
  • 筧 善行(香川大学医学部)
  • 荒井 陽一(東北大学大学院医学研究科)
  • 上田 昭一(熊本大学大学院医薬研究部)
  • 中川 昌之(鹿児島大学医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)浸潤性膀胱癌の標準治療である根治的膀胱摘除+リンパ節郭清の補助療法としての術前化学療法(MVAC療法)の意義の検討、2)術前化学療法が有効な症例の特定と膀胱温存可能症例の特定、3)臨床経過を予測できる指標の特定、4)治療にともなうQOLの変化の調査。
研究方法
1)臨床病期T2-4aN0M0の浸潤性膀胱癌で本臨床試験の適格条件に合致し、本人の文書による同意が得られた症例を対象に、「根治的膀胱摘除」単独群と「術前MVAC療法+根治的膀胱摘除」群にランダム割付を行う。MVAC療法は術前に2コース施行する。症例の集積を、本研究の班員が属する22施設と研究協力施設15施設が共同して行う。
2)浸潤性膀胱癌の臨床経過を予測可能な臨床的要因の特定を行う
結果と考察
1)本臨床試験開始後、MVAC療法の保険適用が認められたため(2004年1月)、こと、症例適格規準の一部が臨床の状況にそぐわない点が出てきたことから、プロトコールの一部の改訂を行った。現在まで、26例に症例登録があった(2005年3月1日現在)。これまでのところ、プロトコール治療による重篤な有害事象あるいは未知の有害事象は発生していない。現在進行中の臨床試験の結果により、補助化学療法の意義の問題に一定程度の解答が与えられる可能性がある。
2)わが国における代表的な施設を網羅した浸潤性膀胱癌の現時点での治療成績の検討を行い、その結果を報告した。これらの結果は、現時点における浸潤性膀胱癌に対する根治的膀胱摘除の標準的な治療成績を示すものと考えられた。
3)浸潤性膀胱癌の手術後の局所再発が症例のQOLを大きく損ねるが、そのリスクファクターは特定されていなかった。今回の分析により、膀胱癌組織の扁平上皮癌の混在がその大きな要因であることを突き止めた。膀胱癌における尿路上皮癌と扁平上皮癌の発生機序という問題を改めて浮き彫りにした。この機序の分子生物学的な解明が急がれる。
結論
1)浸潤性膀胱癌の生存率の向上を目的に、術前MVAC療法の意義を無作為化臨床試験により検討した。
2)現時点における浸潤性膀胱癌の治療成績を多数例で明らかにした。
3)浸潤性膀胱癌の根治的膀胱摘除後の局所再発のリスクファクターの1つを特定た。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-