消化管悪性腫瘍に対するリンパ節郭清に関する研究

文献情報

文献番号
200400504A
報告書区分
総括
研究課題名
消化管悪性腫瘍に対するリンパ節郭清に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
佐野 武(国立がんセンター中央病院外科)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 理(神奈川県立がんセンター 消化器外科)
  • 木下 平(国立がんセンター東病院 上腹部外科)
  • 小西 孝司(富山県立中央病院 外科)
  • 宮代 勲(大阪府立成人病センター 消化器外科)
  • 辻仲 利政(大阪医療センター 統括診療部)
  • 宮下 薫(燕労災病院 外科)
  • 塚原 康生(市立豊中病院 外科)
  • 藤谷 恒明(宮城県立がんセンター 外科)
  • 田中 洋一(埼玉県立がんセンター 外科)
  • 清水 利夫(国立国際医療センター 外科)
  • 平塚 正弘(市立伊丹病院 外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
胃癌に対する胃全摘術において、リンパ節郭清を目的とする脾合併切除が生存率の向上に寄与するか否かを、多施設共同のランダム化比較試験で検証する。
研究方法
日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の胃がん外科グループ参加施設およびJCOGデータセンターを研究組織とする。、primary endpointは全生存期間、secondary endpointは術後合併症率、手術時間、出血量。比較デザインは非劣性の証明とする。治療法は以下の通り。脾摘群:膵脾を脱転し、膵を温存しつつ脾摘を行い、脾動脈周囲および脾門部リンパ節を完全に郭清する。脾温存群:膵脾を脱転せず、脾摘を行わない。脾動脈周囲リンパ節は可能な範囲で郭清する。両群共通:胃全摘術を行い、リンパ節郭清は脾門部を除きD2とする。術後は再発を認めるまで抗癌治療は行わない。
結果と考察
JCOG臨床試験審査委員会の承認を得て平成14年6月から症例登録が開始された。各施設の倫理審査委員会の承認を得るのに予想以上の時間を要したため、本格的な症例登録は11月からになったが、平成17年3月末までに約200例が登録されている。年に3回開催する班会議では、手術ビデオの供覧を行いながら手技の統一に努めている。本研究の開始と意義が国際的に正しく認知されるよう、試験プロトコール概要を英文にて発表した。
 JCOGの胃癌外科グループは1980年代から多施設共同研究を開始しており、手術後の補助化学療法に関する第III相試験を展開してきた。これを通じて、ランダム化試験の意義を患者に説明する経験を積み、標準治療の重要性を認識し、外科医が共同で研究することの意義を理解してきた。1995年からは手術同士の比較試験を開始し、その一つ「進行胃癌に対する腹部大動脈周囲リンパ節郭清の意義に関する研究」は532例を集積するという成功を収めた。この経験の上に今回のプロトコールが完成したといえる。この脾摘に関する臨床試験は、今日世界的な関心事でありながら、実行できる臨床グループはおそらく本研究グループをおいて他にない。
結論
胃癌に対するリンパ節郭清の意義を、多施設共同の大規模ランダム化比較試験で検証するという国際的にも注目される研究は、順調に進行している。手術手技の統一・品質管理に留意しつつ、予定の症例集積に向かって努力を続ける。

公開日・更新日

公開日
2005-05-31
更新日
-