高度進行胃がんの治療に関する研究

文献情報

文献番号
200400498A
報告書区分
総括
研究課題名
高度進行胃がんの治療に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
笹子 三津留(国立がんセンター中央病院第一領域外来部)
研究分担者(所属機関)
  • 荒井 邦佳(東京都立駒込病院)
  • 栗田 啓(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター)
  • 斎藤 和好(岩手医科大学医学部第一外科)
  • 塩崎 均(近畿大学医学部外科)
  • 清水 武昭(新潟県厚生連長岡中央綜合病院)
  • 種村 廣巳(岐阜市民病院)
  • 梨本 篤(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 二宮 基樹(広島市立広島市民病院)
  • 福島 紀雅(山形県立中央病院)
  • 古河 洋(堺市立堺病院)
  • 山村 義孝(愛知県がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
予後不良であるスキルス胃がんと大型3型胃がんの予後改善を目的とする。
研究方法
治療法:術前にTS-1+シスプラチン療法を2コース実施後に、D2郭清以上を伴う根治手術を行う。治療法の評価方法:第Ⅱ相試験において安全性と治療の完遂率を評価し、基準以上の場合に、第Ⅲ相試験を行う。第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験ともJCOG胃がん外科グループの臨床試験として行う。
 (倫理面への配慮)
本研究は第Ⅱ・Ⅲ相試験ともJCOG臨床試験審査委員会および参加各施設の倫理審査委員会により審査され承認されて行われる。被験者は文書と口頭による充分な説明を受け、自由意志に基づいて、文書にて同意する。
結果と考察
本年度になり第Ⅱ相試験症例の治療が全例で終了し、データを集計・解析した。50例が登録され、治療関連死は1例。Grade4の血液学的有害事象は低ナトリウム血症の1例のみ、Grade3は好中球減少14%が最高で全体に低率であった。非血液学的毒性のGrade4は無く、Grade3は食欲不振14%が筆頭で、全体に軽微であった。有害事象による治療中止は3例あった。50例中48例が手術を受け、根治手術達成(総合的治癒切除)は31例で、期待値60%を上回っていた。術後の合併症はきわめて低頻度であった。組織学的効果判定では胃がん化学療法効果として稀なCRを2例認め、Grade1b以上の症例が24例有った。第Ⅲ相試験のプロトコールはJCOGプロトコール審査委員会に平成17年2月に提出され、第1回目の審査が終了。現在プロトコール原案を修正し、間もなく第2回目の審査に提出する。
考察
第Ⅲ相試験の対象は前記第Ⅱ相臨床試験と同じで、手術単独群を対照とする。第Ⅱ相試験では、主たる目的がfeasibilityの確認であり、適格性を臨床・画像検査のみで決めたが、第Ⅲ相試験では診断的腹腔鏡検査を実施した上で、腹膜播種が無く、洗浄細胞診陰性の症例のみを対象として実施する。2005年夏までには試験を開始できると考えている。また、本治療は高度リンパ節転移を有し、遠隔転移のない胃がん症例に対する術前化学療法としても十分魅力的であり、現在既にJCOG胃がん外科グループでそれらを対象とした第Ⅱ相試験を実施中である。
結論
TS-1+CDDP療法は安全性と治療効果に優れ、遠隔転移のない予後不良進行胃がん症例に対する新しい治療法となりうる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
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