効果的かつ効率的ながん専門医の育成方法に関する研究

文献情報

文献番号
200400494A
報告書区分
総括
研究課題名
効果的かつ効率的ながん専門医の育成方法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大江 裕一郎(国立がんセンター中央病院特殊病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 常雄(都立駒込病院)
  • 前原 喜彦(九州大学大学院)
  • 筧 善行(香川大学医学部)
  • 福岡 正博(近畿大学医学部)
  • 西條 長宏(国立がんセンター東病院)
  • 土屋 了介(国立がんセンター中央病院)
  • 片井 均(国立がんセンター中央病院)
  • 石倉 聡(国立がんセンター東病院)
  • 木澤 義之(筑波大学臨床医学系)
  • 佐伯 俊昭(埼玉医科大学医学部)
  • 神津 忠彦(東京女子医科大学医学教育学)
  • 江口 研二(東海大学医学部)
  • 田村 和夫(福岡大学医学部)
  • 直江 知樹(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 杉山 徹(岩手医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
44,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国ではがんに対する薬物治療を専門としている医師は極めて少ない。がん治療のレベル向上の為には、がん専門医、特にがんに対する薬物治療の専門医などの育成が極めて重要である。がん専門医を効果的かつ効率的に育成してわが国におけるがん治療のレベルおよび治療成績の向上を目指すのが本研究の目的である。
研究方法
わが国の癌診療に関する専門医制度の実態を調べる為に、基本領域・Subspecialtyの学会でがん患者の診療に携わる医師が所属している26学会および腫瘍に直接関連する臨床系の13学会にアンケート調査を実施した。
 がん専門医の効果的かつ効率的な育成には、大学における臨床腫瘍学の卒前教育、大学病院や一般教育研修病院での臨床腫瘍学の卒直後教育および大学病院、がん専門病院などにおける臨床腫瘍学の専門教育が一貫性をもち整合性がとれている必要があり、これらの教育カリキュラムの素案を作成した。
結果と考察
基本領域・Subspecialtyの学会でがん患者の診療に携わる医師が所属している26学会中22学会(85%)、腫瘍に直接関連する臨床系の13学会中12学会(93%)より回答を得た。基本領域・Subspecialtyの学会でがん患者の診療に携わる医師が所属している学会ではほとんどの学会で専門医制度を有していた。しかし、多くの学会の専門医制度は「がん専門医」としての認定制度としては不十分であったが、例外として消化器外科専門医、胸部外科専門医は「腫瘍外科専門医」とほぼ同等の制度と考えられた。したがって、わが国で確立すべきはがんに対する薬物治療の専門医制度であることが明らかとなった。
 卒前教育のカリキュラム(案)、卒直後教育のカリキュラム(案)、腫瘍内科医育成のカリキュラム(案)および腫瘍外科医育成のカリキュラム(案)の素案を作成した。米国臨床腫瘍学会および欧州腫瘍内科学会が進めている腫瘍内科医育成のグローバルコアカリキュラムがわが国で導入可能か否かを検討したところ、わが国の実状にあわせて若干の変更が必要であるもののコアカリキュラムとして導入可能と判断された。
結論
わが国で確立すべきはがんに対する薬物治療の専門医制度であることが明らかとなった。専門医制度を確立するには、専門医に求められる知識・技術などを明らかにして理想の専門医を育成するための教育カリキュラムが重要である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-