進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術の根治性に関する研究

文献情報

文献番号
200400488A
報告書区分
総括
研究課題名
進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術の根治性に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
北野 正剛(大分大学医学部外科第1)
研究分担者(所属機関)
  • 森谷冝皓(国立がんセンター中央病院大腸外科)
  • 杉原健一(東京医科歯科大学大学院消化機能再建学)
  • 小西文雄(自治医科大学附属大宮医療センター外科)
  • 渡邊昌彦(北里大学外科)
  • 正木忠彦(杏林大学第一外科)
  • 斎藤典男(国立がんセンター東病院骨盤外科)
  • 白水和雄(久留米大学医学部外科)
  • 谷川允彦(大阪医科大学医学部一般・消化器外科)
  • 工藤進英(昭和大学横浜市北部病院消化器センター)
  • 炭山嘉伸(東邦大学医学部附属大橋病院外科学第三講座)
  • 宮島伸宜(帝京大学医学部附属溝口病院外科)
  • 福永正氣(順天堂大学浦安病院外科)
  • 山田英夫(東邦大学佐倉病院内視鏡治療センター)
  • 岡島正純(広島大学大学院消化器外科)
  • 長谷川博俊(慶応義塾大学医学部一般・消化器外科)
  • 宗像康博(長野市民病院外科)
  • 山口茂樹(静岡がんセンター大腸外科)
  • 門田守人(大阪大学大学院病態制御外科)
  • 東野正幸(大阪市立総合医療センター消化器外科)
  • 沢田寿仁(虎の門病院消化器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
36,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大腸がんに対する手術の中で低侵襲と考えられている腹腔鏡下手術の占める割合はこの10年間で急速に増加してきた。導入初期には早期大腸がんのみを適応としていたが、最近では進行大腸がんにも適応が拡大つつあるが、遠隔成績から見た信頼性は未だ明確にされていないのが現状である。本研究班では、進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術と開腹手術との多施設共同ランダム化比較試験を行い遠隔成績を評価しわが国の進行大腸がんに対する標準術式としての位置づけを明確化する。
研究方法
1,昨年度作成し承認されたプロトコールコンセプトに基づきプロトコールを完成させランダム化比較試験の実施を行う。2,患者の理解度を高めランダム化比較試験の症例集積性を高めるための工夫を行う。3,臨床試験のQuality Controlを高める対策を行う。
結果と考察
本年度は3年計画の2年目であり、プロトコールの完成と6つの研究成果を得た。
<プロトコールの概要>
(1)評価項目:開腹下大腸切除術に対する試験治療である腹腔鏡下大腸切除術の非劣性を検証するランダム化比較試験。プライマリー・エンドポイントを OS、セカンダリー・エンドポイントを DFS、術後早期経過、有害事象発生割合。(2)症例選択基準:対象部位が盲腸、上行結腸、S状結腸、直腸S状部。術前診断で根治手術(CurA)可能。術前深達度T3・T4(他臓器浸潤を除く)。75歳以下。(3)試験デザイン:多施設共同ランダム化比較試験。D3郭清。参加施設:24施設(4)解析計画:登録3年、追跡5年、818例の登録目標。
<主な研究成果>
(1)JCOG 0404として2004年10月に臨床試験スタート(2)患者説明用の文書とビデオ作成(3)手術手技のQuality controlのため手術写真の中央判定委員会の設置(4)手術担当責任医の規定と認定者へのSatificateの発行(5)参加全施設におけるIRB承認完了(6)手術手技の施設間の相互checkとして班会議にてビデオ閲覧。
本研究の遂行によって、進行大腸がんにおける腹腔鏡下手術の根治性に関する治療成績が、世界に評価されうるわが国の質の高いエビデンスとして確立され、大腸がんに対するわが国の標準術式の位置づけが明確化されると考える。
結論
わが国の大腸がんに対する標準手術としての腹腔鏡下手術の位置づけを明確化するためは、進行がんに対する腹腔鏡下手術の長期成績を明らかにすることが必要である。質の高いプロトコールの作成と高い倫理性に基づいた患者説明文書/ビデオ作成、さらに手術手技のQuality control など本臨床研究の遂行に有用と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-06-06
更新日
-