子宮頸癌術後リンパ節転移に対する治療法適正化の研究

文献情報

文献番号
200400487A
報告書区分
総括
研究課題名
子宮頸癌術後リンパ節転移に対する治療法適正化の研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
伊東 久夫(千葉大学大学院医学研究院放射線腫瘍学)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 恢(国立がんセンター中央病院放射線治療部)
  • 植木 實(大阪医科大学産婦人科学)
  • 梅咲 直彦(和歌山県立医科大学産婦人科学)
  • 蔵本 博行(北里大学医療系研究科臨床細胞学)
  • 竹内 正弘(北里大学薬学研究科臨床統計学)
  • 西村 隆一郎(兵庫県立成人病センター婦人科)
  • 野澤 志朗(慶應義塾大学医学部産婦人科学)
  • 星合 昊(近畿大学医学部産婦人科学)
  • 藤井多久磨(慶應義塾大学医学部産婦人科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子宮頸癌根治的手術後の病理学的検査で予後不良があると、一般的に術後骨盤部放射線治療が行われる。しかし、子宮頸癌術後照射の適応と利益・損失に関する無作為臨床試験は皆無である。予後不良因子の中リンパ節転移のある患者は、術後照射を行っても予後は極めて不良である。一方、放射線治療による副作用や障害は確実に発生するため、治療による利益と損失の関係が不明瞭である。本研究はリンパ節転移に対する術後照射の意義を明確にすることを目的とする。
研究方法
本年度の研究方法は以下のように要約できる。(1)子宮頸癌術後照射と併用出来るCDDPの投与法を検討する。(2)客観的QOL調査票を作成するため、頸癌放射線治療のQOL調査票に関する論文は解析する。(3) 本研究は子宮頸癌根治術後にリンパ節転移が検出された患者を対象に、無作為臨床試験を行う。(4)正常組織の放射線感受性に関して、細胞生存率とFISH法による染色体変異発現率の関係を検討する。(5)子宮頸癌のリンパ節転移発生の機序解明や癌の悪性度判定に役立つ基礎的研究を行う。
結果と考察
(1)初年度作成した臨床試験実施計画書は、各施設での倫理審査の過程や、実際に患者に適応するのに不適当な箇所があり、修正を行った後、全ての施設で再審査を受けた。分担研究者、研究協力者の施設で臨床試験を開始した。(2) CDDPの併用量の検討から、本臨床試験では75mg/m2を4週毎に投与することした。(3)QOLの調査には癌一般ではEORTC QLQ-C30が、骨盤部照射にはLENT-SOMAの有用性が示唆された。しかし、欧米の研究には下肢の浮腫が含まれず、この有害事象の客観的評価に問題が残った。(4)放射線感受性と染色体変異の出現頻度の関係を検討し、早期正常組織の障害発生予測法開発の可能性が示唆された。(5)子宮頸癌の性状と治療法の関係を検討するため、ヒトパピローマウイルス感染と癌の進行の関係、血管新生因子と癌の転移の関係、等に関して興味或る成果が得られた。
結論
子宮頸癌根治的手術後のリンパ節転移に対し、術後骨盤部照射の意義を明確にすることを目的に臨床研究を開始した。放射線治療と併用するCDDP涼を予備試験で確定した。本年度は臨床試験計画書を参加施設の倫理委員会に提出し、臨床試験を開始した。また、新たな治療法を考案したり、治療の必要な患者の選別のため、基礎的研究を行った。

公開日・更新日

公開日
2005-03-31
更新日
-