文献情報
文献番号
200400486A
報告書区分
総括
研究課題名
子宮頸がんの予後向上を目指した集学的治療法における標準的化学療法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
嘉村 敏治(久留米大学医学部)
研究分担者(所属機関)
- 笠松高弘(東京がんセンター 中央病院)
- 喜多川亮(久留米大学 医学部)
- 吉川裕之(筑波大学 臨床医学系)
- 葛谷和夫(愛知県立がんセンター)
- 斉藤俊章(国立病院機構九州がんセンター)
- 佐治文隆(国立病院機構呉医療センター)
- 小西郁生(信州大学 医学部)
- 岩坂剛(佐賀大学 医学部)
- 波多江正紀(鹿児島市立病院)
- 櫻木範明(北海道大学 医学部)
- 山本嘉一郎(近畿大学 医学部)
- 杉山徹(岩手医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
子宮頸がんの予後向上を計るためにこれまでの手術療法、放射線療法に加えて化学療法を導入することが試みられている。現在の世界の標準化学療法はcisplatinとpaclitaxelの2剤併用療法(TP療法)である。しかしこの薬剤による併用療法は副作用が強く、子宮頸がんでよくみられる腎機能が低下した症例に対しては十分な治療ができない。そこでcisplatinのかわりに副作用の少ないcarboplatinをpaclitaxelと併用したTJ療法を子宮頸がんに対する新たな化学療法として確立することを目的とした。
研究方法
再発子宮頸がんを対象としてTJ療法について第2相試験を行い、その結果によりTP療法との間で第3相試験をJCOG研究として行うためのconcept sheet さらにprotocol作成を行うこととした。TJ療法の安全性については卵巣がん患者への使用で確立されており、全症例にinformed consentをとりカルテに記載した上で治療を実行した。
結果と考察
これまでの研究期間中に第3相試験の前段階としての再発・進行子宮頸がんを対象としたTJ療法の第2相試験を行った。39例の登録を行い、放射線治療、また予後が悪い非扁平上皮癌を含んでいたにも拘わらず59%と高い奏功率が得られた。無増悪生存期間の中央値は148日、全生存期間の中央値は283日であった。副作用としては好中球減少性発熱が18%に見られたが、入院せずに抗生物質内服で改善した。その他の副作用も対応可能なものであった。さらに平成15年中にTP療法、TJ療法の無作為化比較試験(第3相試験)のコンセプトシートがJCOG運営委員会で承認され、現在研究プロトコールがほぼ完成した。
結論
第2相試験で得られた結果は現在標準治療のTP療法と比べても遜色はない。第3相試験は非劣性試験になるが、complianceを含めたfeasibilityに関してTJ療法の方がTP療法よりも高い有用性を示すことが期待される。平成17年度当初よりJCOG婦人科グループ施設にてIRBで認証を受けた後症例登録を開始する、
公開日・更新日
公開日
2005-03-31
更新日
-