転移性脳腫瘍に対する標準的治療法確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400485A
報告書区分
総括
研究課題名
転移性脳腫瘍に対する標準的治療法確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
嘉山 孝正(山形大学医学部附属病院(脳神経外科))
研究分担者(所属機関)
  • 山浦 晶(千葉大学医学部附属病院(脳神経外科))
  • 吉田 純(名古屋大学医学部附属病院(脳神経外科))
  • 橋本 信夫(京都大学医学部附属病院(脳神経外科))
  • 渋井 壮一郎(国立がんセンター中央病院(脳神経外科))
  • 小川 彰(岩手医科大学附属病院(脳神経外科))
  • 大西 丘倫(愛媛大学医学部附属病院(脳神経外科))
  • 西川 亮(埼玉医科大学附属病院(脳神経外科))
  • 白土 博樹(北海道大学医学部附属病院(放射線科))
  • 冨永 悌二(東北大学病院(脳神経外科))
  • 澤村 豊(北海道大学医学部附属病院(脳神経外科))
  • 城倉 英史(鈴木二郎記念ガンマハウス(脳神経外科))
  • 藤堂 具紀(東京大学医学部附属病院(脳神経外科))
  • 中川 恵一(東京大学医学部附属病院(放射線科))
  • 角 美奈子(国立がんセンター中央病院(放射線科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
H15年度に行った実態調査により、我が国では近年、転移性脳腫瘍の治療法として定位放射線照射(RS)が特に多用されている実態が明らかとなった。今年度は、主として、RSの適応と照射線量、摘出術後の放射線照射、各治療法における入院期間・医療費等医療経済学的側面から更に詳細な実態調査を行い、その結果に基づき転移性脳腫瘍の標準的治療法確立の為の多施設共同臨床研究を行うことを目的とした。
研究方法
嘉山班の研究者が属する11施設に於いて、平成15年6月から平成16年5月までの一年間に治療した転移性脳腫瘍症例を対象とした多施設合同調査を行った。
<対象疾患>原発巣、組織型の証明されている転移性脳腫瘍で、造影MRIにて確認された転移巣が1個、最大直径4cm以下。<評価項目>(1)治療前の患者背景、(2)治療前の脳転移巣の最大直径、(3)治療手段、(4)治療後の経過、(5)保険請求額・入院期間。
結果と考察
 登録総数75例。摘出術が21%に、RSが79%に行われていた。2群間で最も大きな違いは、転移巣の最大径で、摘出術は最大径が2.8cm以上の症例に限って行われていた。これは、一般にRSの限界とされる3cmにほぼ一致する。一方、RSの限界とされる3cmを越えてもRSが行なわれている症例があった。摘出術群の術後照射に関しては、海外での標準とされる術後の全脳照射が25%の症例でのみ行われているにすぎなかった。また摘出術+放射線照射の標準適治療で、平均入院期間38.3日、医療費255万円。摘出術のみだと、入院期間17.7日、医療費211万円、SRS/SRTのみだと入院期間3.3日、医療費61万円であった。
結論
我が国においては、転移性脳腫瘍の治療にRSが多用されていること、また海外で標準とされている術後照射が躊躇されていることから、転移性脳腫瘍治療のプロトコール作成にはRSと術後照射に関する検討が必須であると結論される。以上から、現在JCOGPC40X「転移性脳腫瘍に対する、腫瘍摘出術+全脳照射と腫瘍摘出術+Salvage Radiation Therapyとのランダム化比較試験」の最終プロトコールを作成中であり、平成17年度早々の承認を目指している。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-