がんの腹膜播種に対する標準的治療の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400479A
報告書区分
総括
研究課題名
がんの腹膜播種に対する標準的治療の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大津 敦(国立がんセンター東病院 内視鏡部)
研究分担者(所属機関)
  • 白尾 國昭(国立がんセンター中央病院 総合病棟部)
  • 兵頭 一之介(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 内科)
  • 斎藤 博(山形県立がん・生活習慣病センター 内科)
  • 小泉 和三郎(北里大学医学部 内科学Ⅰ)
  • 滝内 比呂也(大阪医科大学 第二内科)
  • 荒井 保明(国立がんセンター中央病院 放射線診断部)
  • 宮田 佳典(厚生連佐久総合病院 内科)
  • 小島 宏(県立愛知病院 外科)
  • 金子 和弘(昭和大学医学部 第二内科)
  • 朴 成和(静岡県立静岡がんセンター 消化器内科)
  • 藤井 博文(栃木県立がんセンター 薬物療法科)
  • 西崎 朗(兵庫県立成人病センター 消化器科)
  • 米村 豊(静岡県立静岡がんセンター 腹膜播種科)
  • 吉川 裕之(筑波大学臨床医学系 産科婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
22,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
胃癌腹膜播種症例に対する5-fluorouracil (5FU)単剤 vs methotrexate(MTX) +5-FUの第Ⅲ相比較試験を実施し、本対象例での標準治療の確立を目指す。
研究方法
本試験は無作為化比較試験で、Primary endpointは、全生存期間。対象症例の選択規準は、切除不能または術後再発胃癌症例で、画像診断で(CT・注腸)明らかな腹膜播種を有する症例、20歳-75歳、PS 0-2で、主要臓器機能が保持され、患者本人より文書での同意が得られた症例。予定症例数は各治療群80例、計160例。登録期間2年6ヶ月、参加予定29施設。
結果と考察
本研究は平成14年8月にJCOG内の審査が終了。ただちに参加施設の倫理審査へ入り、倫理審査の終了した施設より順次登録を開始している。平成14年10月より症例登録が開始され、17年2月末現在122例の登録を得ている。目標症例数の半数を越えた平成16年9月にJCOG効果安全性評価委員会で中間解析が行われ、本試験は最終登録まで続行することが指示されている。現時点までに治療終了30日以内死亡は8例(6.5%)報告されているが、7例は原病の悪化に伴うものであり、治療関連死の疑いがある症例は1例(0.8%)のみである。現時点まで安全性に問題なく、症例集積も順調であり、平成17年中に目標160例の当録が終了する見込みである。腹膜播種は進行・再発胃癌例の約半数を占める最多の転移部位であり、腸閉塞や尿管閉塞による水腎症等を併発しやすく臨床的対応に苦慮することが多い。現時点までに腹膜播種を伴う進行胃癌に対する本格的な比較試験の結果は国内外ともに全く報告がない。本研究結果は、腹膜播種が最多の再発形式を示す漿膜浸潤を有する胃癌外科切除例に対する術後補助化学療法への展開も期待されるなど、今後の胃癌治療において極めて大きなインパクトを与える可能性が高い。
結論
胃癌腹膜播種に対する標準的治療の確立を目指した5-FUとMTX+5-FUの第Ⅲ相比較試験を実施し、現時点まで安全性に問題なく症例集積も順調で、まもなく登録終了見込である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200400479B
報告書区分
総合
研究課題名
がんの腹膜播種に対する標準的治療の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大津 敦(国立がんセンター東病院 内視鏡部)
研究分担者(所属機関)
  • 白尾 國昭(国立がんセンター中央病院 総合病棟部)
  • 兵頭 一之介(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 内科)
  • 齋藤 博(山形県立がん・生活習慣病センター 内科)
  • 小泉 和三郎(北里大学医学部 内科学Ⅰ)
  • 滝内 比呂也(大阪医科大学 第二内科)
  • 荒井 保明(国立がんセンター中央病院 放射線診断部)
  • 宮田 佳典(厚生連佐久総合病院 内科)
  • 小島 宏(県立愛知病院 外科)
  • 金子 和弘(昭和大学医学部 第二内科)
  • 朴 成和(静岡県立静岡がんセンター 消化器内科)
  • 米村 豊(静岡県立静岡がんセンター 腹膜播種科)
  • 吉川 裕之(筑波大学臨床医学系 産科婦人科)
  • 木下 一夫(近江草津病院 外科)
  • 澤 敏治(独立行政法人国立病院機構福井病院 外科)
  • 藤井 博文(栃木県立がんセンター 薬物療法科)
  • 西崎 朗(兵庫県立成人病センター 消化器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では、胃癌の腹膜播種症例での標準治療確立を目指し、5-fluorouracil (5FU)単剤をコントロールとして、methotrexate(MTX) +5-FUの生存延長効果を検討する第Ⅲ相比較試験を計画した。
研究方法
本試験は無作為化比較試験で、Primary endpointは全生存期間、対象症例は、切除不能または術後再発胃癌症例で、画像診断で(CT・注腸)明らかな腹膜播種を有する症例、20歳-75歳、PS 0-2で、主要臓器機能が保持され、患者本人より文書での同意が得られた症例である。治療は、5-FU持続静注療法は5-FU 800 mg/m2/day: 5日間(120時間: day 1-5)持続静注を4週1コース。MF療法はMTX, 100 mg/m2/day静注(day1)、 5-FU, 600mg/m2/day 静注(day 1: MTX投与3時間後)を、1週1コースとして増悪まで繰り返すスケジュールとした。予定症例数は各治療群80例、計160例。登録期間2年6ヶ月、参加予定29施設。
結果と考察
本研究は平成14年8月にJCOG内の審査が終了。ただちに参加施設の倫理審査へ入り、倫理審査の終了した施設より順次登録を開始し、17年3月末現在130例の登録を得ている。目標症例数の半数を越えた平成16年9月にJCOG効果安全性評価委員会で中間解析が行われ、本試験は最終登録まで続行することが指示されている。17年2月の122例登録時点でのモニタリングレポートでは、治療終了30日以内死亡は8例(6.5%)報告されているが、治療関連死の疑いがある症例は1例(0.8%)のみである。症例集積ペースは予定の87%とほぼ順調であり、平成17年中に目標160例の登録が終了する見込みである。
 腹膜播種は進行・再発胃癌症例の約半数を占める最多の転移部位であり、腸閉塞や尿管閉塞による水腎症等を併発しやすく臨床的対応に苦慮することが多い。本研究により、胃癌腹膜播種症例に対する標準的治療法が決定され、かつ胃癌外科切除例に対する術後補助化学療法への展開も期待される。
結論
胃癌腹膜播種に対する標準的治療の確立を目指した5-FUとMTX+5-FUの第Ⅲ相比較試験を計画し、現在安全性に問題なく順調に症例集積中でありまもなく登録終了見込みである。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
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