高悪性度骨軟部腫用に対する標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400476A
報告書区分
総括
研究課題名
高悪性度骨軟部腫用に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 幸英(九州大学大学院 医学研究院整形外科)
研究分担者(所属機関)
  • 田仲 和宏(九州大学病院整形外科)
  • 中馬 広一(国立がんセンター中央病院整形外科)
  • 内田 淳正(三重大学医学部整形外科)
  • 吉川 秀樹(大阪大学大学院医学系研究科整形外科)
  • 尾崎 敏文(岡山大学大学院医歯学総合研究科整形外科)
  • 戸口田 淳也(京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野整形外科)
  • 荒木 信人(大阪府立成人病センター整形外科)
  • 吉田 行弘(日本大学医学部整形外科)
  • 和田 卓郎(札幌医科大学医学部整形外科)
  • 井須 和男(北海道がんセンター整形外科)
  • 川口 智義(癌研究会附属病院整形外科)
  • 舘崎 愼一郎(千葉県がんセンター整形外科))
  • 高橋 満(静岡県がんセンター整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
33,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
四肢に発生する高悪性度軟部腫瘍は、円形細胞肉腫と非円形細胞肉腫に大別され、後者が大多数を占める。円形細胞肉腫に対する化学療法の有効性は証明されているが、非円形細胞肉腫に対しては世界的にも未だ標準治療が確立されていない。本研究は、四肢に発生する高悪性度軟部腫瘍の大部分を占める非円形細胞肉腫に対する標準治療を確立することを主目的とする。また、手術不能例の進行例等に対する治療戦略の開発も行い、将来のさらなる軟部肉腫の治療成績向上のため、新しい診断・治療法の開発も目的とする。
研究方法
現時点でもっとも有効かつ実施可能と考えられるADM+IFO併用術前術後化学療法の有効性と安全性を第2相試験により評価する。対象は、四肢原発の手術可能な高悪性度非円形細胞軟部肉腫(AJCC病期分類Stage III)である。プライマリエンドポイントは奏効率、症例集積期間は2年間、予定登録症例数は75例である。また、軟部肉腫進行再発例に対する有効な化学療法の開発なども行った。各種肉腫細胞株の薬剤耐性、浸潤・転移の機序を検討し、腫瘍抗原ペプチドを用いた免疫療法の開発を試みた。
結果と考察
高悪性度軟部腫瘍のADM+IFO化学療法の第2相試験では、主要26施設による全国規模の研究組織が整い、IRB審査を経て症例登録開始した。本研究により本疾患に対する標準治療を確立することは世界的にも極めて意義深いと考えられる。また、肉腫の薬剤耐性や転移のメカニズムの解析も進め、MDR1等の多剤耐性遺伝子に対する阻害剤の併用が耐性克服に有用であること、細胞骨格制御因子であるFAKのリン酸化が肉腫細胞の浸潤能の亢進に重要であることが示唆された。肉腫におけるFGF、c-kitなどの発現や意義に関する検討を行い、新しい分子標的治療の可能性が示された。肉腫特異的融合遺伝子やWT1遺伝子産物を標的とした腫瘍特異的免疫療法の可能性も示唆された。
結論
四肢に発生する高悪性度非円形細胞軟部肉腫を対象に、現時点でもっとも有効性が期待され実施可能と考えられるADM+IFO併用による術前術後化学療法の有効性と安全性を検討する第2相試験を開始した。本研究によって、ADM+IFO療法の有効性が認められれば、第3相臨床試験を経て、高悪性度非円形細胞軟部肉腫に対する標準的治療法の確立が期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200400476B
報告書区分
総合
研究課題名
高悪性度骨軟部腫用に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 幸英(九州大学大学院 医学研究院整形外科)
研究分担者(所属機関)
  • 田仲 和宏(九州大学病院 整形外科)
  • 中馬 広一(国立がんセンター中央病院 整形外科)
  • 内田 淳正(三重大学医学部 整形外科)
  • 吉川 秀樹(大阪大学大学院医学系研究科 整形外科)
  • 尾崎 敏文(岡山大学大学院医歯学総合研究科 整形外科)
  • 戸口田 淳也(京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野 整形外科)
  • 荒木 信人(大阪府立成人病センター 整形外科)
  • 吉田 行弘(日本大学医学部 整形外科)
  • 和田 卓郎(札幌医科大学医学部 整形外科)
  • 井須 和男(北海道がんセンター 整形外科)
  • 川口 智義(癌研究会附属病院 整形外科)
  • 舘崎 愼一郎(千葉県がんセンター 整形外科)
  • 高橋 満(静岡県がんセンター 整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
四肢に発生する高悪性度軟部腫瘍は、円形細胞肉腫と非円形細胞肉腫に大別され、後者が大多数を占める。円形細胞肉腫に対する化学療法の有効性は証明されているが、非円形細胞肉腫に対しては世界的にも未だ標準治療が確立されていない。本研究は、四肢に発生する高悪性度軟部腫瘍の大部分を占める非円形細胞肉腫に対する標準治療を確立することを主目的とする。また、手術不能例の進行例等に対する治療戦略の開発も行い、将来のさらなる軟部肉腫の治療成績向上のため、新しい診断・治療法の開発も目的とする。
研究方法
現時点でもっとも有効かつ実施可能と考えられるADM+IFO併用術前術後化学療法の有効性と安全性を第2相試験により評価する。対象は、四肢原発の手術可能な高悪性度非円形細胞軟部肉腫(AJCC病期分類Stage III)である。プライマリエンドポイントは奏効率、症例集積期間は2年間、予定登録症例数は75例である。また、軟部肉腫進行再発例に対する有効な化学療法の開発なども行った。各種肉腫細胞株の薬剤耐性、浸潤・転移の機序を検討し、腫瘍抗原ペプチドを用いた免疫療法の開発を試みた。
結果と考察
高悪性度軟部腫瘍のADM+IFO化学療法の第2相試験では、主要26施設による全国規模の研究組織が整い、IRB審査を経て症例登録開始した。本研究により本疾患に対する標準治療を確立することは世界的にも極めて意義深いと考えられる。また、肉腫細胞においてMDR1等の多剤耐性遺伝子が耐性に関与し、その阻害剤が有用であること、細胞骨格制御因子FAKのリン酸化が肉腫細胞の浸潤・転移に重要であることが示された。肉腫におけるFGF、c-kit、HER2、BMPなどをターゲットとした新しい分子標的治療の可能性が示された。さらに肉腫特異的融合遺伝子やWT1遺伝子産物を標的とした、悪性骨軟部腫瘍に対する腫瘍特異的免疫療法の可能性も示唆された。
結論
四肢に発生する高悪性度非円形細胞軟部肉腫に対し、現時点でもっとも有効性が期待され実施可能と考えられるADM+IFOを用いた術前術後化学療法の有効性と安全性を検討する第2相試験を開始した。本研究によって、ADM+IFO療法の有効性が認められれば第3相試験を経て、高悪性度非円形細胞軟部肉腫に対する標準的治療法の確立が期待される。また、肉腫に対する新しい診断・治療法の可能性も示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-