がん生存(Cancer survivor)のQOL向上に有効な医療資源の構築研究

文献情報

文献番号
200400464A
報告書区分
総括
研究課題名
がん生存(Cancer survivor)のQOL向上に有効な医療資源の構築研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山口 建(静岡県立静岡がんセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 山下 浩介(神奈川県立がんセンター)
  • 小林 国彦(埼玉医科大学)
  • 辻 哲也(静岡県立静岡がんセンター)
  • 小野瀬 雅也(静岡県立静岡がんセンター)
  • 奥原 秀盛(静岡県立大学 看護学部)
  • 石川 睦弓(静岡県立静岡がんセンター)
  • 吉田 隆子(日本大学短期大学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、がん患者に必要な医療機関、行政、教育機関などの医療資源の質の向上を図り、地域格差の是正を図りながら、患者にとってよりアプローチしやすい状況を作り出すことを目的とする。
研究方法
 がん患者や家族は、様々な医療サービスを求めているが、現実には、これらのサービスの恩恵を受けられない多くの人々が存在する。そこで、まず、地域の医療資源活用における阻害要因について検討を進めた。
 次に、患者の視点に立ったがんに関するユニバーサル・サービスに必要な項目を明らかにするために、静岡がんセンターにおける「がんよろず相談」や全国的に実施した「がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査」などに基づき、「予防・検診」、「診断・治療」、「社会復帰」、「緩和ケア」等に関し、がん患者が求める医療資源をとりまとめた。
 さらに、静岡県内の市町村について、情報提供と収集とを目的とした「静岡県がん対策ネットワーク」の構築に着手した。
結果と考察
 地域の医療資源活用における阻害要因について分析した結果、(1)資源の都市部集中による地域差、(2)国、都道府県、市町村、民間で整備している医療資源についての情報提供不足、(3)患者・家族の情報入手のための能力不足、(4)がんの診断を受けた患者・家族の余裕のなさ、などが格差の要因と考えられた。
 次に、がん患者に必要な医療資源に関する検討を進め、患者、家族が求める医療サービス等、83項目を明確にし、このうち、実現可能で、すべての住民が等しく享受すべき項目について、医療・福祉の専門家の意見も聴取しながら、31項目にとりまとめた。今後、これらの医療資源の整備状況を調査し、大都市、中小都市、遠隔地において、現在の資源を効率的に利用し、住民にとって有効な医療資源の配置体制の検討を進めていく。
 「静岡県がん対策ネットワーク」については、静岡県内の69市町村のうち、52市町村、9健康福祉センターを結ぶネットワークが構築された。このネットワークは、各市町村の健康福祉担当者や保健所を結び、がん予防や健診事業に参考となる情報提供や各市町村、関係機関からの提案の場として活用される。
結論
 地域の医療資源活用における阻害要因を明らかにしながら、すべての住民が等しく享受すべき医療資源の項目を明確にした。さらに、「静岡県がん対策ネットワーク」を構築し、情報提供と収集とを可能とした。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-