QOL向上のための各種患者支援プログラムの開発研究

文献情報

文献番号
200400463A
報告書区分
総括
研究課題名
QOL向上のための各種患者支援プログラムの開発研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
内富 庸介(国立がんセンター研究所支所(精神腫瘍学研究部))
研究分担者(所属機関)
  • 下山直人(国立がんセンター 中央病院緩和ケア科)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院 緩和支持治療科)
  • 明智 龍男(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 岡村 仁(広島大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
34,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国のがん患者のQOLを概念化し、身体、心理、社会、スピリチュアルの側面に関する各種患者支援プログラムを開発し、包括的がん患者支援システムを構築する。
研究方法
1)がん医療における患者-医師間のコミュニケーション:がん患者、医師を対象とし、Bad Newsを伝えられる際のコミュニケーションに関する意向を面接調査した。
2)脳画像の手法を用いたがん患者の精神症状の病態解明:乳がん患者を対象に、初発うつ病を半構造化診断面接、海馬体積をMRI検査、記憶機能をウエクスラー記憶検査で評価した。
3)がん患者の疼痛とその他の身体症状に対する支持療法の開発: SDラットのくも膜下にNMDAR1 antisense、Mismatch、生理食塩水のいずれかを10日間投与した。6日目からモルヒネを投与した群と、生理食塩水を投与した群で、6、10日目に行った蓄積用量反応によるED50値を比較した。
結果と考察
1) Bad Newsを伝えられる際のコミュニケーションに関する患者の意向の構成要素として、1. 場の設定、2. 悪い知らせの伝え方、3. 伝える内容、4. 情緒的サポートが抽出された。家族中心的な意向など、日本の文化を反映した意向も示された。
2)うつ病有り群と無し群で、海馬体積、記憶機能に有意差を認めなかった。先行研究の結果との違いは、うつ病の病相期間が短く、単回エピソードであることによると推察される。
3) Mismatch群で、モルヒネのED50が増加した。NMDAR1antisense群では、ED50が低下したが、モルヒネを投与しない群より高値であった。NMDAR1 antisenseが、NMDA受容体数を減少させることにより、モルヒネ耐性の抑制が生じたと考えられる。
結論
1)Bad Newsを伝えられる際のコミュニケーションに関するわが国の患者の意向は、細かく分かれ、家族への配慮を重視する傾向が示唆された。
2)がん診断後の初発うつ病ではストレス中枢である海馬の形態、及び機能に差がないことが示唆された。
3)オピオイド耐性に、NMDA受容体が直接関わっていることが示唆された。
その他、進行がん患者のQOLを概念化、生存に関する心理社会的リスク、がん患者への心理社会的介入、がんリハビリテーションに関する研究が進行中である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-